認知症の発症は、生活習慣の改善によって遅らせられることがわかってきた。最新の疫学研究が明らかにした、早期に手を打つべきリスク因子とは。年代ごとに見落としがちなポイントを、疫学研究の第一人者に聞いた。

40年以上の追跡調査でリスク因子が見えてきた

もし人が200歳まで生きられるようになったとしたら、どうなると思われますか。恐らく、ほぼすべての方が認知症を発症すると思います。

脳の機能は、誰でも年齢とともに少しずつ落ちていきます。それは避けられません。問題は、脳機能の低下が寿命より早く進みきってしまうのか、それとも寿命のほうが先に来るのか、ということだと考えます。脳の老化と寿命が競走をしていて、脳の老化が先にゴールすると、認知症を発症してしまう。私は認知症と老化の関係を、そんなふうに捉えています。

認知症を遠ざけたいのなら、脳の機能が落ちていくスピードをできるだけ緩やかにすることが大切である、と考えます。発症を遅らせることができれば、それだけ元気なまま過ごせる時間が長くなるわけです。

(構成=本誌編集部 イラストレーション=岸 潤一 図版作成=大橋昭一)