備蓄米の買い戻しは9月以降か
さらに高市官邸からゴーサインをもらっても、農水省もすぐには買い入れできない事情がある(「コメ価格が上がるのも、下がるのも「JA都合」…専門家が「暴落は今年9月」と断言する、あまりに理不尽なカラクリ」参照)。
3万円台のコメを買い入れると財政負担が膨大になる。農水省としては、9月になって全国的に26年産の概算金が2万円を下回り、できれば1万5000円に落ち着くことが判明するまで、待つつもりだろう。
既に農水省は今年4~6月、25年産米ではなく26年産について備蓄米約20万8000トンの買い入れ入札を実施し、全量を落札した。落札価格は2万500円だった。これは相対取引価格に相当する。
26年産については、すでに4~6月の時点で、農水省もJA農協もこれから農協販売手数料を引いた1万7000円くらいを概算金の水準と考えていたということだ。つまり、今JA農協が提示している概算金は、農家にとっては“予期せざる”暴落かもしれないが、農水省・JA農協にとってはかねてから“仕組んだ”暴落だったのだ。
7月28日鈴木農水相が、8年産米の作柄が「8月末にはおよそ分かってくる」としたうえで、「そうした状況をよく踏まえて、どの程度買戻しをするか、そういったことを判断させていただきたいというふうに思っております」と述べた。
5年古米等を処分すれば、最大限80万トン買い入れることは可能である。しかし、大量に買い入れればコメの値段は精米5キログラムで3000円を超えて高止まりしてしまう。他方で、26年産の生産が増えて価格が大きく下がるようだと、買い入れを増やして市場から隔離すだろう。どれだけの量を買い入れるかは、物価対策を重視する官邸の意向と米価の予想される低下幅を見ながら決めていくことになろう。
いずれにせよ、3年前2000円を切っていた価格には戻らないだろう。やはり消費者よりも農協ファーストだからである。


