JAが行っているのは「委託販売」

以上が表面的な概算金の説明である。

JA農協が概算払いをするのは、生産者からコメを買い取るのではなく販売の委託を受けるだけだからである。JA農協が卸売業者にコメを売却するが、法律的には取引の主体は生産者と卸売業者である。

コメの所有権は農協を介さずに生産者から卸売業者に移転する。JA農協は生産者から販売の委託を受けている(その際販売手数料を徴収する)という位置づけである。したがって、生産者は出荷後1年以上経たないと最終的な米価を受け取れないことになる。このため出来秋に仮払いして販売が終了したのちに清算することにしたのである。

つまり、「概算払い+清算」という方式は、JA農協が買取販売ではなく委託販売を行っているために採られているのである。政府がコメを農家から買い入れていた食管制度の時代、収穫時に農家がコメを政府に渡したときに受け取る代金が最終米価だった。さらに、政府は農家の資金繰りを考慮して集荷促進という名目で7月ころに米価の一部(3000円)を概算払いとして払っていた。現在の委託販売とは全く異なっていた。

稲の出来をチェックする農家
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米価が下がってもJAは手数料を得る

2016年、規制改革推進会議 農業ワーキング・グループは、JA全農に委託販売から買取販売への転換を求める意見を公表した。25年には小泉進次郎農水大臣が同様の要請をしたが、部分的にしか転換していない。

なぜか。

JA農協がリスクを取りたくないからである。買取販売ならコメの価格が下がるとJA農協は価格低下分だけ損失を受ける。しかし、委託販売なら米価がどのようになっても、JA農協は決まった手数料を受けることができる。

つまり、委託販売では、JA農協は価格が下がろうが利益を受けるだけで絶対に損をしない。では誰が価格変動リスクを負担するのか? 生産者に他ならない。

つまり、JA農協の委託販売方式は、コメの価格変動リスクをJA農協が負担するのではなく、生産者に押し付ける仕組みなのだ。形式上はJA農協の主人は組合員農家だが、JA農協は組合員農家に損害を与えても自らの組織の利益を優先しようとする。委託販売方式は、その一つの表れに過ぎない。

なお、同じ委託販売でも野菜には概算金がないのは、卸売市場に出荷すると同時に販売価格が決まるからである。