「7000円ショック」で進んだJA離れ

2007年、JA全農は種籾の流通が増えているという独自情報を基にコメの過剰作付けを見通した。過剰で売れないコメを抱え在庫が増えると、多額の金利・保管料を負担しなければならない。JA全農は、概算金を前年の1万2000円から7000円へと大幅に減額した。JA全農に売ると7000円しか払わない、つまりJAに売るなという組合員農家に対する事実上の集荷拒否だった。コメ業界でこれは7000円ショックと言われた。業界関係者は「農家の組織がそこまでするか」と呟いた。

山形の“はえぬき”の2009年産の概算金は1万2300円だった。ところが相対取引価格は、期首2009年9月の1万5169円から期末2010年8月には1万4106円に低下し、平均価格は1万4470円となった。販売手数料などのマージンを差し引くと、農家の最終的な受取額は1万1470円程度だった。1万2300円の概算金は多すぎたので、JA農協は農家から概算金の一部を取り戻した。これは農家の不興を買った。

これに懲りた農協は、2010年産の概算金を一気に9000円に引き下げ、震災のあった2011年産でも1万500円にとどめた。概算金を下げれば、農家はJA農協を通じて売ろうとしなくなる。予定通りJAの集荷量は大幅に低下した。

組合員農家は、建前は農協の主人だが、実際には農協ビジネスの客体である。JA農協は組織の利益になるときは集荷量を増やし、そうでないときは減らしてきた。これがJA農協の素顔である。

市場シェア10%でも「有力な事業者」

JAの集荷率を約3~4割とみて、「この程度のシェアなら市場支配力はない」とする見方がある。ただし、3~4割というシェアは、市場への影響力が小さいことを意味するのだろうか。

スーパーの棚から大きな米袋を取ろうとしている女性の手元
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大手4社でほぼ全体を占め、寡占構造とされるビール業界でも、各社のシェアはアサヒ約35~40%、キリン約30%、サントリー約20%、サッポロ約10%である。これと比べれば、3~4割を直ちに小さいシェアとは評価しにくい。

“市場における有力な事業者”が共同の取引拒絶、差別対価、排他条件付き取引などの“不公正な取引方法”を行う場合に独占禁止法違反となるが、“有力な事業者”の目安は、市場シェアが10%以上または上位3位以内とされている。

「JAは生産資材の供給や農産物の出荷、共同利用施設の賃貸等といった分野において、ほとんどのケースで有力な事業者に該当します。」(JA全中等「独占禁止法の遵守に向けて」)としているように、JA自身が“市場における有力な事業者”であることを認めているのだ。