直接販売を除けばJAのシェアは93%
JA農協のシェアはもっと大きいのではないだろうか?
23年産では、主食用のコメ出荷・販売量533万トンに対しJA農協は280万トン、農家の直接販売等は233万トンである。JA農協のシェアは52%である(※4)。さらに生産者が直接販売している量を除くと、JA農協のシェアは93%となり、JA以外の集荷業者は約7%にとどまる。
この数字を踏まえると、JAの市場への影響力を小さいとみなすことは難しい。
JA農協がかつて現物の市場を廃止に追い込み、現物受け渡し型のコメ先物の本上場に反対してきたのも、自由で公正な価格形成を否定し、力関係で劣る小さい卸売業者と相対で交渉し、米価を高く維持したいからである。しかも、農水省もこの相対取引価格をホームページで公表しているように、JA農協が決める相対取引価格が他の取引の指標価格となっている。つまり、日本全体の米価を決めているのはJA農協なのだ。これはコメ業界の常識である。
※4 農水省「米をめぐる状況について」(令和8年3月)より、「米の流通経路別流通量の状況(令和5年産米)」(29ページ)。JAへの出荷量については、欄外の「注1 集出荷業者には、全集連系を含む(JA等への出荷量300万トンのうち20万トンが全集連系)」から算出。
25年産米の豊作をJAは知っていた
「JA外の一部業者が高値で集荷したため、JAも在庫確保のために概算金を引き上げざるを得なかった」という説明には、納得できない。25年産米は生産増が見込まれ、本来なら概算金を引き上げにくい市場環境だったからだ。
25年産米の生産が増えそうだということは、主食用米の作付け動向などからJA農協が概算金を払う段階では決定的だった。10%の生産増加なら米価は30%下がり、少なくとも2万円を切る(※5)はずである。コメ市場に歪みがなければ、価格下落が予想される局面だった。一部の集荷業者が農家に3万円を支払えば、米価が2万円に下がったとき、その業者は大幅な損失を被る。
全国に地域農協やその支所が存在するうえ、種苗、肥料・農薬などの生産資材を独占的に供給しているJA農協は、小規模な集荷業者よりも広い地域において、また生産資材の動きから作付け・生産の情報をより正確に把握できる立場にある。そうであれば、損失の恐れがある高値買いに追随するより、集荷量を抑える選択も可能だったはずだ。前に述べた通り、過去には過剰を予想したときに概算金を大幅に引き下げ、意図的に集荷量を減らしている。
※5 2009年に農水省が用いた需要の弾性値に当てはめて算出。理論的には生産(供給)が10%増えれば、25年産米の米価は33%減少し、1万6870円となる。

