まずは福田家さんの美しい建物や内装、床の間の掛け軸を見てください。「日本料理を通して食文化の継承、発展に貢献する」という理念を掲げ、ミシュランの2つ星を守り続ける名店です。それだけに空間そのものが日本文化の精髄を表しています。創業当初から北大路魯山人との交流が深く、今も魯山人作の皿に料理を盛りつけて出してくれます。正直、東京青年会議所の活動で福田さんと出会うまでは、日本料理の伝統も何も私には縁遠いことでした。しかしそんな私に、福田さんは食文化をはじめ日本文化の基礎を教えてくれたのです。福田さんの「『守破離』というけれど、何事も一流になるにはまず基礎を固めることだ。日本人なら日本文化を深く知る必要がある」という言葉に、深く心を動かされました。

東京・紀尾井町の紀尾井町 福田家にて。
東京・紀尾井町の紀尾井町 福田家にて。

私は日本青年会議所 2025年度の会頭を務めていますが、所信として「偉大な先達の轍を信じ歩みながら、それでも己の手で考えることをやめない。革新とはその先に待つものなのです」という一節を話しました。今の時代、どの組織でも多様性を認めることは大切なことです。しかし、その前に、譲れないこと、守るべきもの、つまり共通の価値観をしっかり認識していないと、組織はバラバラになります。こういうことを教えてくださったのが福田さんであり、福田さんと出会えたのは若い頃から青年会議所の活動に取り組んできたからです。先輩、これからもよろしくお願いいたします。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2025年8月1日号)の一部を再編集したものです。

(構成=本誌編集部 撮影=市来朋久)

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