税金地獄の日本を離れる富裕層が増えている
富裕層を苦しめる、日本の税制。特に彼らの負担感を増大させる要因となっているのは「累進課税制度」だ。累進課税とは、課税対象の額が大きくなるほど税率が高くなる制度。所得や資産が多ければ、多くの税金が課される。
税理士法人ベリーベストで国際相続と国際資産税を専門に取り扱う、税理士の佐下谷彩代氏はこう語る。
「日本の所得税は5〜45%の7段階。所得金額が4000万円超の場合、45%もかかります。住民税を考慮すれば最大55%にもなります。海外はお金持ちに優しい税制を取っている国が多く、例えばシンガポールでは最高でも24%、アラブ首長国連邦(UAE)ではゼロ。日本と真逆ですね」
累進課税制度が採用されているのは、所得税だけではない。相続税も同様だ。
「日本の相続税は10〜55%までの8段階の税率が適用されます。相続人の取得金額が6億円超なら55%、『何も対策しなければ、3代でゼロになる』と名高い。基礎控除も3000万円+法定相続人の数×600万円と非常に低く、過去の改正により引き下げ方向にあります。海外は、シンガポール、マレーシア、オーストラリアなど、相続税がない国も多いです。アメリカは国税に当たる連邦遺産税と地方税に当たる州遺産税がありますが、州によっては州遺産税がない場合も多く、あっても基礎控除が1140万ドルと、かなり高い。そのため多くの富裕層が、税金対策として海外移住を検討します」
ただ、その道は平坦ではない。
「税金対策のための海外移住は、かつては相続税対策とセミリタイアを目的とした資産額5億〜10億円の超富裕層がほとんどでした。大半が企業のオーナーですね」
しかし、最近では状況が変わりつつあるそうだ。
「今は所得税対策として、ビットコインで財を築いた資産額が1億円程度の20〜30代や、リモートワークができる会社員が副業の節税を目的として移住する例も増えてきました。日本に頻繁に帰国するタイプや、リモートワークをしながら定住するタイプ、母子だけで教育移住を目的とするなど、多様化してきています」
各国も物価と家賃の上昇が深刻で、状況は厳しさを増しており、移住のハードルは年々上がっていると話す。
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