7000億円以上かけたのに運用費が上昇

人口20万人以上の都市の市長で構成された中核市市長会は2025年1月29日にデジタル庁と総務省あてに「地方公共団体情報システム標準化に関する緊急要望」を提出している。

そこには、以下の記載がある。

“自治体システム標準化は国策として進められたものであるが、運用経費は「少なくとも3割削減を目指す」との方針に反し、大幅に増大する見込みである。

その要因として、国の定める標準仕様の増大により開発・保守費用が肥大化したこと、またシステムの肥大化と相まって、当初期待されたガバメントクラウド利用の低減効果が得られなかったことも十分に想定される。

このため、想定を上回る運用経費の増大については、国の責任において適切に財政措置を行うこと。”

調査結果では、62市中59市のうち、運用費が減少したのはわずか2自治体であり、過半数の30自治体では運用費が2倍以上に膨らんでおり、運用経費が平均2.3倍になったとも記載されている。

標準化に関する予算は、デジタル庁ではなく総務省の管轄で「デジタル基盤改革支援補助金」として予算化されており、2020年から2025年の6年間の移行経費だけで総額7182億円となっている。

現状は、簡単にいえば、7000億円以上かけて、運用費が3割削減されるどころか、2倍や3倍になることもあり、しかも2026年3月末で完了する予定が、半分以上の自治体で移行できていないシステムがある、ということである。標準化法の施行と同時に発足したデジタル庁の肝いり事業が、まったくうまくいっていないということだ。

「政治主導」というトップダウン

そもそも自治体システム標準化を推進しているデジタル庁そのものが、コロナ禍での給付の遅れやシステム連携の不備等をきっかけに「行政の縦割りを打破する突破口」として政治主導で設立されたものだ。

デジタル庁発足式で記念撮影に応じる平井卓也デジタル相(右)と石倉洋子デジタル監=2021年9月1日、東京都千代田区
写真=時事通信フォト
デジタル庁発足式で記念撮影に応じる平井卓也デジタル相(右)と石倉洋子デジタル監=2021年9月1日、東京都千代田区

2020年9月23日のデジタル改革関係閣僚会議での総理指示(デジタル庁設置とIT基本法の抜本改正)が起点で、以降ワーキンググループでの議論を経て法案化され、総理指示から発足までわずか約11カ月という異例のスピードだったことが政治主導であることを強く示唆している。

そして、デジタル庁という組織を作ること、システムを標準化しクラウド化することは決まっていたが、それらをどのような方針で進めていくのかは決まっていなかった。時系列で見ても、デジタル庁の設立と標準化に関する法律は2021年9月だが、標準化の基本方針の閣議決定は2022年10月である。