お風呂は一日の疲れを癒やす時間だが、入り方を間違えると心臓や血管に大きな負担をかけることがある。何に注意すればいいのか。内科医の工藤孝文さんが監修した『「血管と心臓にいいこと」、ぜんぶ集めました。』(青春出版社)より、一部を紹介する――。(第3回)
お湯を張ったバスタブ
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「お風呂上がりのビール」が危険なワケ

お風呂上がりのビールや牛乳はじつにおいしい。汗をたっぷりかいて、入浴前よりも体の水分が800ml程度も少なくなったためだ。脱水状態に近いから、普段以上においしく感じるのも無理もない。しかし、水分補給が本当に必要なのは、入浴後ではなく入浴前だ。

短時間で急に水分を失うと、血液が濃く粘っこくなり、血管が詰まりやすくなる。体の負担はとても大きく、血管が弱っている人の場合、心臓病や脳梗塞などの原因になり得る。そこで、お風呂に入る前に、コップ1杯程度の水を飲んでおく。

そのとき、のどがかわいているかどうかは関係ない。大量の水分が失われるのを見越して、前もって補給しておくのだ。お風呂上がりのビールの幸福感が減ってしまいそうだが、血管を危険にさらさないため、この行動を入浴前のルーティンにしよう。

そして、家の中で、最も危険な場所は浴室。厚生労働省研究班の推計によると、年間約1万9000人が入浴時に亡くなっている。お風呂が危険なのは、大きな寒暖差にさらされるからだ。

寒い脱衣所でいきなり裸になるのはNG

とくに冬場、暖房をきかせた温かい部屋から、寒い脱衣場に行ったときが危ない。

服を脱いだとたん、冷たい空気が体を直撃。血管が一気に収縮し、血圧がぐんと跳ね上がる。このヒートショックにより、心筋梗塞や心不全、動脈解離といった心臓病をはじめ、血管の急変が原因となる事故を引き起こす。

血圧や心臓に不安があるなら、冷たい脱衣所でいきなり裸になるのは禁物だ。対策としては、前もって脱衣所をヒーターなどで温めておくこと。20℃以上になっていれば、裸になっても血圧はほぼ上がらないので、ヒートショックも起こらない。

いくら脱衣所を温かくしておいても、浴室内が外気と変わらないほど冷たかったら、血管に大きな負担がかかる。心臓にショックを与えないためには、前もって浴室も温かくしておかなければいけない。とくに寒い季節、浴室が冷え切っている「一番風呂」は危険。