浴室で心地良くなったら要注意

入浴中の事故で、とくに多いのが浴槽での溺死。著名な芸能人が、若くしてこの亡くなり方をしたのも、まだ記憶に新しいところだ。お湯に浸かっていると、いったん上昇した血圧がぐんぐん下がっていく。

この急激な変動から脳の血流が減少し、しだいにぼぉ〜としはじめ、最終的には意識がなくなることもある。意識を失ったら、体を浴槽の中で支えられなくなり、お湯の中に沈んでしまうしかない。

こうした悲惨な事故を避けるには、お湯の中で気持ち良くなってきたら、あるセリフを自分に言い聞かせるといい。雪山での遭難を描くドラマや映画でよく使われる「眠ったら死ぬぞ!」という常套句じょうとうくだ。そして、気が遠くなる前にお湯から出る。こうすれば溺死を防げるはずだ。

お風呂に入るときには、小さな子どもでもない限り、勢いよくお湯に飛び込みはしない。足先からゆっくり入っていくだろう。これは理にかなった行動の仕方。お湯に少しずつ慣れながら浸かると、血圧の急上昇をある程度は防ぐことができる。

では、お湯から上がるときはどうだろう。

入るときとは違って、さっと素早く行動する人がほとんどではないか。けれども、じつはお風呂に入るときよりも、上がるときのほうがゆっくり行動することが大切だ。お風呂に浸かっていると、副交感神経が高まって血管が拡張し、血圧がぐっと低下する。

その状態で急に立ち上がると、脳の血流不足から立ちくらみを起こし、事故につながる危険がある。「ふ〜、出ようかね〜」「さあ、どっこいしょ」などと気が抜けるような言葉を口にしながら、ゆっくりお湯から出るようにしよう。

中高年は入浴前の楽しい晩酌も避ける

外出から帰宅した夜、つまみを食べながら晩酌を楽しみ、そのあとで入浴する。あるいは、温泉旅館に泊まった際、一杯やりながら夕食を味わい、ほろ酔い気分で露天風呂に向かう。お酒を飲んでからお風呂に入ると、一層リラックスできるような気がする。

自宅でビールを飲む中年男性
写真=iStock.com/pain au chocolat
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しかし、中高年になったら、この順番で行動するのはNGだ。お酒を飲むと、アルコールの作用で血管が拡張し、血流が良くなって血圧が下がる。この状態でお風呂にゆっくり入ると、さらに血圧が低下してしまう。

アルコールの利尿作用や発汗作用によって、体の水分が失われているのも良くない。ゆっくり温まってから立ち上がると、その瞬間に失神して倒れる恐れがあるのだ。飲んだらお風呂に入るな、お風呂に入るのなら飲むな。こう肝に銘じておこう。