※本稿は、渡部雅浩『地球はどこまで暑くなるのか 世界の「異変」がわかる気候変動の真実』(マガジンハウス新書)の一部を再編集したものです。
猛暑や豪雨は増えている
Q:温暖化で異常気象はどう変わるのか
A:平均気温が少し高くなるだけで「極端な高温」は大きく増える
猛暑や豪雨、干ばつといった異常気象そのものは、温暖化が始まる前から起きています。大気や海はもともと変動しているので、ある年にひどく暑くなったり、ある地域で大雨が降ったりすること自体は、自然のゆらぎの中でも起こります。
一方で、近年は猛暑や豪雨が実際に増えていることも、観測データから見えてきています。ここでは、その話をもう少し踏み込んで考えてみましょう。ポイントは、温暖化が異常気象をゼロから生み出すということではなく、もともと起こりうる極端な現象の起こりやすさや強さを変えていく、という点です。そのことを理解するうえで役に立つのが図表1に示すような「確率分布」という見方です。
そもそも「異常気象」とは、平年と比べてかなりまれな高温、大雨、少雨、低温などの現象を指します。気象の世界では、ある地点で年に一度程度しか起こらないような現象を目安にすることがあります。つまり異常気象は、「本来は絶対に起こらないこと」ではなく、もともとまれに起こる現象です。
「まれに起こる現象」の頻度が変わる
温暖化が進むと、この「まれに起こる現象」の頻度が変わります。たとえば気温の場合、毎日の気温は平均値の周りでばらついています。涼しい日もあれば暑い日もあり、その中でとくに高い側に外れた日が猛暑になります。図表1に示されるように、平均的な気温の土台が少し上がると、確率分布全体が高温側へずれます。平均値の変化は小さく見えても、分布の端にある極端な高温の日は大きく増えるのです。
ですから、温暖化の影響は「平均気温が何度上がったか」だけでは判断できません。
平均のわずかな上昇が、猛暑日の頻度や、これまで経験しにくかった高温の起こりやすさを大きく変えることがあります。

