強い雨が増える地域、水不足になる地域
異常気象の変化は、気温だけに限りません。豪雨についても、温暖化との関係が見えやすくなっています。気温が上がると、大気が含むことのできる水蒸気の量が増えます。水蒸気は雨のもとですから、雨が降るときに、より多くの水が一度に落ちやすくなります。
一方で、温暖化は単に「雨が増える」方向だけに働くわけではありません。気温が上がると地表や植物からの蒸発も増えるため、乾燥しやすい地域では水不足が深刻になりやすくなります。つまり温暖化は水循環全体を強め、ある地域では強い雨が増え、別の地域では乾燥が進むことがあります。そのため干ばつについては、豪雨以上に地域差に注意して見る必要があります。
豪雨は「降る時に強く降る」方向へ
Q:温暖化は豪雨や台風をどう変えるのか?
A:豪雨は「降るときに強く降る」方向へ変わる
気温が上がると大気中の水蒸気量が増え、強い雨が起こりやすくなります。ここでは、その変化が日本でどのような豪雨リスクとして現れるのかを、具体的に見ていきましょう。
日本の大雨は、梅雨前線や秋雨前線、台風、低気圧など、さまざまな気象条件のもとで起こります。温暖化は、それらの気象現象を一つひとつ新しく生み出すわけではありません。しかし、大気中に含まれる水蒸気が増えることで、雨雲が発達したときに、一度に降る雨の量が増えやすくなります。
とくに、暖かく湿った空気が同じ地域に流れ込み続ける条件が重なると、発達した雨雲が連なり、線状降水帯のような大雨につながることがあります。つまり温暖化は、雨を降らせる気象条件がそろったときに、その雨をより強くする方向に働きうるのです。
そして実際に日本の観測でも、短時間に非常に強く降る雨は増えています。図表3は、全国のアメダス地点で観測された、1時間降水量50ミリ以上の年間発生回数を示したものです。
1時間に50ミリ以上の雨というのは、滝のように非常に激しく降る雨です。1976~1985年の平均では年間約226回でしたが、2016~2025年の平均では約350回となり、およそ1.5倍に増えています。これは、短時間に強く降る雨が、長期的に増えていることを示しています。

