気分のいい人、悪い人の違いは何か。精神科医で起業家の物部真一郎さんは「同じことをしていても、どう解釈するかで、結果が大きく変わる。ホテルで働く84名の清掃員を対象にした調査で、清掃員を2つに分けて一方にあることを伝えた結果、4週間後に測定された健康指標に変化がみられた」という――。
※本稿は、物部真一郎『最新科学でわかった! 気分のいい人がうまくいく』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
「戻る力」が気分の技術の中身
前頭前野は、帯状皮質などほかの領域とともに、不安や恐怖に関わる「扁桃体」の興奮を抑える働きをしています。回復スピードが速い人は、この「ブレーキ」がスムーズに効いていて、不安や恐怖の信号を感じても、それを必要以上に増幅させず、適切なところで収束させられます。
逆に、回復に時間がかかる人は、このブレーキが効きにくく、ネガティブな感情がいったん立ち上がると、同じループから抜け出せなくなってしまいます。
目指すのは、落ち込まない人間になることではありません。心が沈んだときに、どれだけしなやかに、どれだけ速く、いつもの状態へ戻ってこられるか。この戻る力を育てることが、気分の技術のいちばんの中身です。
認知的再評価とは「気分を落ち込ませている見方を、別の角度から見直す」技術であり、それは頭の中だけの作業ではなく、実際の体験を通じて無意識のうちに形成された「物事の受け取り方のクセ」である「スキーマ」を書き換えていく訓練です。
では、この技術は、日常のどんな場面で力を発揮するのでしょうか。

