コンサル会社の影響が推察される
実際、日経XTECHの2024年10月31日の記事「窮地の自治体システム標準化、政治主導のデジタル政策を軌道修正できるか」には、以下のような記述がある。
「そもそも2025年度末の期限は当時の官邸による政治主導で設けられた。自治体システム標準化やガバメントクラウドへの移行に対しては当初から、システムに詳しい複数の専門家がエンジニアの人材確保など様々な問題を理由に『2030年くらいまで時間をかけないと無理ではないか』と指摘していた。
結局、誰も官邸を説得できなかった。官邸に近い立場にあったコンサルティング会社の幹部は『2025年は大阪・関西万博もあり、タイミングが良いと思って提案していた』と振り返る。同幹部も今や後悔を口にする。」
ここから推測されるのは、官僚の意見よりも一部のコンサルティング会社からの提案が強く影響したであろう、ということだ。
移行が遅れた原因についてデジタル庁は、移行作業やその直後の運用に想定以上のSEリソースが必要と判明し、事業者が移行スケジュールを大幅に見直したことや、その他メインフレーム・個別開発システム、事業者撤退で代替調達の見込みが立たないことを挙げている。
しかし、そうしたことは計画段階で十分に予想できたはずで、そうした指摘も前述のようにあった。
そもそもが計画通りに進まない可能性が高い、計画だったというわけだ。
そもそも行政には情報システム部はない
この連載の3回目でも「『プッチンプリン』の出荷停止に、ゆうちょ銀行の入金遅延…日本企業でシステムトラブルが相次ぐ根本原因」という記事で、組織にITのことがわかるトップがいないこと、ユーザー企業にはIT人材がいないため素人がプロに発注している状態になっていること、ユーザー企業はSIerとコンサルのいいなりになっていること、を書いたが、自治体システム標準化も同じ構図だ。
そもそも霞が関にはITのわかる高級官僚はいないも同然だ。自治体にも、ITが十分にわかる人材はいない。なぜなら民間企業には一応存在する情報システム部が行政組織にはないからだ。
例えば、最近何かと話題の筆者の出身地でもある福岡県の組織図を見ても、情報システム部はない。かろうじて政策企画部の中にデジタル戦略推進課という組織があるが、いわゆる情報システム部ではない。
行政組織にとって、ITシステムは外部発注するものであり、その管理は総務部の管轄になるが、発注するだけなのでIT専門人材はいない。
ましてや、もっと小さな基礎自治体では、システムは外部業者に丸投げ、というのが実態だ。

