高市首相は「大変残念」「大変深刻」しか言えない
2026年8月19日、記者団から国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長への制裁について問われた高市早苗首相は、こう答えた。
「大変残念に思っております。これからもですね、米国を含む関係国と意思疎通を継続しながら対応してまいります」
(首相官邸「エルドアン・トルコ共和国大統領との電話会談及び国際刑事裁判所(ICC)に対する米国の制裁についての会見」令和8年8月19日)
首相官邸での短いやり取りだった。欧州各国が名指しでアメリカを批判するなか、日本の反応は目立って抑制的だった。自民党内からも、もっと強い声明を出すべきだという声が上がったという。
(東京新聞「トランプ氏の標的になったICC赤根所長…高市首相の『大変残念』しか言えない態度に自民内からも批判の声」2026年8月21日)
その後、「弱腰」との批判が与野党から相次いだ。8月25日、高市首相は改めて記者団の前に立ち、「日本の立場と相いれず、大変深刻に受け止めている」と表明した。さらに「弱腰との批判は当たらない」と反論し、赤根氏を制裁対象としないよう米国にさまざまなレベルで働き掛けてきたことも明らかにした。
(時事通信社「ICC制裁『日本の立場と相いれず』 高市首相『弱腰』批判に反論」)
「生活を支えるデジタル基盤」をアメリカに依存
首相だけではない。前日の8月24日、木原稔官房長官は記者会見で「(赤根氏と)これまでも緊密に意思疎通してきている。必要な支援があればしっかりとやる」と述べている(日本経済新聞「木原官房長官、ICC赤根智子所長に『必要な支援』 米制裁受け」2026年8月24日)。
弱腰批判や、アメリカへの制裁解除の働きかけについて問われても、返ってきたのは「必要な支援を行うことに尽きる」の繰り返しだった(時事通信「ICC所長に『必要な支援』 木原官房長官」2026年08月24日)。
支援はする。だが、制裁そのものをやめさせるとは、誰も言わない。
ヨーロッパでは、各国政府がトランプ政権そのものを名指しで批判している。それらに比べれば、日本の発言は明らかに弱腰だ(日本経済新聞「ICC赤根智子所長に米制裁、各国が『強い危機感』 日本に弱腰批判も」2026年8月20日)。
だが、問題は対米姿勢だけにとどまらない。決済も、通信も、行政を支えるクラウドも、この国はアメリカ企業とアメリカの金融システムへの依存を深めてきた。その結果、アメリカが発動した制裁の効果を、日本政府が自力で打ち消す手段は極めて限られている。
自国民が制裁対象になっても、その生活を支える基盤を自分たちだけでは守れない。すでに、そういう国になっていたのである。
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