「二度目の敗戦」状態にある日本

いまや、かつて中露のやり方を批判していた側までが、同じ方向へ動きはじめている。ヨーロッパは規制でアメリカ企業を縛り、独自の決済網を模索する。グローバルサウスの国々も、自前のインフラを持とうとしている。

しかし、日本ではこの問題がまだ十分に議論されていない。国産クラウドや国産AI、経済安全保障という個別の議論は始まっている。だが、決済、通信、クラウドといった国家を動かす基盤を横断して、「最終的に誰が止める権限を持っているのか」という主権の問題として捉える視点は乏しい。

筆者は、この状態を日本の「二度目の敗戦」と考えている。

一度目の敗戦には、焼け跡があった。何を失ったのかが、誰の目にも見えた。二度目は違う。何も燃えていない。今日もコンビニでカードは通り、スマホは動き、通販の荷物は届く。便利で、快適だ。だから敗けたことさえ見えにくい。

では、なぜ日本の首相は、自国出身のICC所長が制裁対象になっても「大変残念に思っております」としか言えなかったのか。

答えは、首相の資質より深いところにある。アメリカが発動した制裁の効果を自力で打ち消すだけの金融・デジタルインフラを、この国は持っていない。なにより、日本にはなにを目指し、なにを守るかの共通する物語もない。だから「残念」と言うことしかできない。

8月19日の「大変残念」という一言は、その敗戦がすでに起きていることを、何より雄弁に物語っている。

2025年10月28日、高市総理は、神奈川県でアメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領と共に、米海軍横須賀基地を訪問しました
2025年10月28日、高市総理は、神奈川県でアメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領と共に、米海軍横須賀基地を訪問しました。(写真=内閣官房/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons
【関連記事】
「日本円の紙くず化」へのカウントダウンが始まった…高市首相が狙う「借金1342兆円を帳消しにする」禁断の処方箋
地方衰退の一番の原因は「人口減少」ではない…山口の超富裕層が「住民税43億円」をまるっと抱えて移住した理由
だから習近平は台湾にも尖閣にも手を出せない…中国軍が最も恐れる海上自衛隊の「静かな反撃力」の正体
大地震でまず確保すべきは水でも食料でもない…被災者が「これだけは担いで逃げて」という最も重要なモノ2選
差別はなかった、でもモバイルバッテリーは7回盗まれた…日本人義勇兵が見た「プーチンの軍隊の実情」