日本の出生数は10年連続で「過去最少」を更新している。少子化はどうすれば止まるのか。独身研究家の荒川和久さんは「子育て支援も共働き推奨もすべて逆効果だ。政府は若い世代に安心を提供しようとして、むしろ壊している」という――。
子育て支援が招いた「逆効果」
「社会全体で子どもを育てる」
少子化対策に関して、政府がお決まりのように使用する言葉です。すでに開始された「子育て支援金制度」もいままでの少子化対策も基本はこの考え方です。児童手当を拡充し、保育所を整備し、幼児教育・保育を無償化し、育児休業を取りやすくする。こうした政策の根底には「子育ての負担を社会で分かち合えば、若い世代は安心して子どもを持てる」という考え方があります。
しかし、その方向で継続してきた少子化対策で何かが改善したでしょうか。いうまでもなく、答えは「否」です。
もちろん、子育て支援そのものを否定するつもりはありません。子どもや子育て世帯を支援することは必要です。しかし、これだけ子育て支援を拡充しても出生数は減り続け、若者の婚姻数も減り続けました。
ここで一度、立ち止まって考える必要があります。「社会全体が子どもを育てる」という掛け声は、本当に若者に安心を与えたのだろうか」と。むしろ、皮肉にも逆のことが起きてはいないでしょうか。
そもそも「社会全体で子どもを育てる」という理念は、本来、「親だけで抱え込まなくていい」という安心を与えるためのものだったはずです。ところが、現代の子育てを見ていると、別の現象が起きています。
保育、教育、習い事、受験、大学、住宅、食事、医療……。子どもに「してあげるべきこと」は際限なく増えました。「子どもを育てる」ことが、昔よりはるかに大きなプロジェクトになってしまっています。そして、それらの多くがサービスとして市場化されることで、「子育ては価格を持つ」ようになってしまいました。要するに、より質の高い子育てをしようとすればするほど、「お金がかかる」状態となったのです。

