「普通の安心」はどこに行ったのか

昔の「普通の家庭」は、決して裕福ではありませんでした。家は狭いながらも子どもは何人かいて、親ができる範囲で育てていました。不満がないわけではありませんでしたが、9割が中流意識を持つ中での「“なんとかなる”という普通の安心」がありました。

ところが今は、子育てにお金がかかる、それなりの広さの住宅を買おうにも手の届く価格を大幅に超えている、家計のためには夫婦でフルタイムの共働きを維持しないといけない。だとするならば、結婚する相手の経済力は重要になる。婚活では女性だけではなく、男性もまた相手の年収などを見るような状況になっています。

そんなメカニズムによって「結婚と子育てに対する意識のインフレ」が顕著になります。それどころか、もはや「お金がなければ恋愛もできない」と若者は考えるようになってしまいました。そして、実際にその通りに、経済階級上位層しか恋愛も結婚も出産もできなくなっています。