生命保険は、必要な人に、必要なタイミングで現金を残せる、相続対策の有力な手段だ。その力を生かすには「誰に、何のために、いくら残すか」から契約を考える必要がある。

何が最適解かは家庭によって違う

生命保険が「最強の相続対策」と言われるのは、非課税枠があるからだけではありません。節税以外にも、大きく次のようなメリットがあります。

一つは、遺産分割を待たずにまとまった現金を確保できること。

たとえば一時払いの終身保険などを活用しておけば、亡くなった後、受取人が保険会社に請求することで、それなりの額の死亡保険金が入ってきます。これは、残された家族の生活資金としても、相続税の納税資金としても役立ちます。

もう一つは、死亡保険金は原則として「受取人固有の財産」になるということです。相続遺産は、遺言書がない場合、相続人同士で話し合って分け方を決めなくてはなりません。ところが、死亡保険金ではあらかじめ受取人が指定されています。そのため、渡したい相手へ一定の金額を直接残すことができるのです。

以上を踏まえると、相続対策としての生命保険には「4つの使い方」が見えてきます。何が最適解かは、家庭によって異なります。私たち税理士は税負担を軸に考えますが、弁護士であれば相続争いを防ぐことをより重視するなど、専門家によっても着眼点は変わります。

大切なのは、それぞれの家庭の事情に応じて4つの使い方を選び分け、適切な受取人と保険金額を設定することでしょう。もちろん、複数の使い方を組み合わせるという方法もあります。以下、一つずつ見ていきましょう。

①生活保障型

「残された家族の生活を守ること」を目的とした使い方です。生命保険の本来の役割と言えるでしょう。

特に、高齢の夫に先立たれたとき、残された妻にとって老後の生活は大きな不安になりえます。お子さんとの関係性にもよりますが、住む場所と、一定の生活資金の確保は必須と言えます。

保険金の受取人を配偶者に設定するのは、節税だけを考えるとメリットが薄いと〈非課税枠だけではもったいない…誰に、いくら残す?「生命保険」4つの使い方〉で解説しましたが、生活資金を確実に残すという観点なら大いに意味を持ちます。

生命保険のよいところは、繰り返しになりますが、「受取人自身の財産になる」こと。配偶者本人が使える生活資金を、固有の財産として確保できる点に価値があるのです。

(構成=本誌編集部)