フードデリバリー「menu」が、2026年9月30日をもって事業を終了することを発表した。なぜ、配達サービスの撤退が相次いでいるのか。フリーランスライターの小川裕夫さんは「便利なサービスである一方、プラットフォーマーだけが利益を得る仕組みだった。需要が一服したいま、関わる人や組織すべてに利益をもたらす仕組みを構築できなければ生き残れない」という――。
路上に置かれたUber Eatsのバッグ
写真=iStock.com/Ceri Breeze
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コロナ禍で急拡大したフードデリバリー

フードデリバリーのプラットフォーマーだった「menu」が、このほど事業からの撤退を発表した。menuは2026年9月30日をもって事業を終了する。

フードデリバリーは2020年初頭から感染拡大した新型コロナウイルスの影響によって、広く認識されるようになった。それまでもピザや寿司といった飲食店では、デリバリーを実施してきた。

日本には“出前”という文化もあり、飲食店が注文された品を各家庭へと届けることは珍しくない。しかし、フードデリバリーと従来の出前の大きな違いは、プラットフォーマーが商行為に大きく関与していることが挙げられる。

IT技術の進化によってスマホひとつで簡単に飲食物が注文できるようになったが、なによりフードデリバリーが世間一般に浸透した理由は新型コロナウイルスの感染拡大を避けるという目的からだった。

コロナ禍は密を回避しなければならず、屋内でしかも客と客の距離が近い飲食店はコロナが感染拡大する条件が揃っていた。そのため、政府は飲食店などに営業自粛を呼びかけ、社会全体がそれを容認する空気が生み出された。

飲食店は営業休止もしくは縮小に迫られたが、日々の経費として家賃・人件費・光熱水費の基本料などが固定費としてのしかかる。これらを支払うため、飲食店の多くはテイクアウトを実施して生き残りを図った。

先駆者Uber Eatsが圧倒的シェアを握る

とはいえ、その売り上げだけでは限界がある。そこで新たな販路として、客側が持ち帰るテイクアウトではなく店側から配達するデリバリーに活路を求めた。

コロナ禍によって、Uber Eatsや出前館といったフードデリバリーが広く活用されるようになり、それらはフードデリバリープラットフォーマーとして存在感を高めていった。

Uber Eatsはフードデリバリープラットフォーマーの最大手で、日本には2016年に進出するなど業界の先駆者でもある。それまでは広く認識されていなかったが、コロナ禍をきっかけに大きく利用者を増やした。Uber Eats以外のプラットフォーマーも次々と参入したが、現在に至っても国内のフードデリバリーはUber Eatsが圧倒的シェアを誇っている。

コロナ禍によってフードデリバリーは広く利用されることになったが、フードデリバリーが隆盛を誇る要因はそれだけに限らない。昨今の副業ブームという社会的環境も配達員という人的資源の確保を後押しし、それがフードデリバリーの追い風になっている。フードデリバリーが便利なサービスであることは否定しないが、風土・慣習・文化に照らして、これらのサービスが日本に根付くか? と問われれば、そこには疑問が残る。