事故のうち約16%が保険適用外で起こる
少し古いデータになるが、ウーバーイーツユニオンは2020年に調査を実施し、配達員が起こした事故のうち約16%が配達依頼を受けていない状態で起きていることを公表した。待機時間は保険適用外ということになるので、当然ながら被害者の救済・保護も手薄になる。
通常、企業は従業員などの被用者が仕事中に他人に損害を与えると、企業が損害賠償責任を負う。これは民法第715条に明文化されている使用者責任と解される。
これに基づけば、配達員が事故を起こして通行人(5)に怪我を負わせた場合や届け先の住居もしくは配達中に道路などを損傷させた場合、まずは雇用主(1)が賠償責任を負う。
もちろん、配達員がまったく免責されるわけではないが、同法は被害者の救済・保護を最優先する目的を含んでいるため、ひとまず使用者が責任を取る形で被害者に賠償し、その後に使用者が被用者へ求償するという段取りになる。
UberEatsでは、事故やトラブルの責任はとにかく配達員が負わなければならない。これは企業としての責任を放棄しているのに等しい。
ブーム終了で配達会社の競争が激化
配達員による事故・トラブルが相次ぎ、それらの一部は訴訟にまで発展した。Uber Eats側も被害者に向き合わざるを得なくなり、少しずつ補償面で改善が見られるようにはなっている。
例えば、現在は配達員が加入できる保険に弁護士特約も付与されている。これは配達員に代理して弁護士が被害者と交渉してくれるという内容で、弁護士がつくことで配達員は安心して仕事に打ち込めるようになる。それでも事故はあくまでも配達員の責任という意識が存在している。これでは被害者へのケアが手薄になり、まだ十分とは言い難い。
歩行者や生活者の安全を確保することは重要な行政課題であり、責任を放棄しているとも受け取れるUber Eatsを自治体が受け入れることは容易ではない。
コロナ禍が収束し、文京区や三鷹市といった自治体独自のフードデリバリーサービスは役目を閉じた。これによって民間のフードデリバリープラットフォーマーがシェアを拡大するチャンスを得たが、フードデリバリー需要が一服したことでプラットフォーマーも生存競争が激しくなった。
Uber Eatsはフードデリバリー市場を席巻する存在ゆえに目立ってしまい、本稿でもUber Eatsを中心にその問題点を触れざるを得ないが、ほかのフードデリバリープラットフォーマーにも問題がないわけではない。ここまでも述べてきたようにフードデリバリープラットフォーマーは行政との関係をうまく築けていない。行政と関係をうまく築けていないからといって即座にフードデリバリーのビジネスモデルが否定されるわけではない。

