サービスに対して後ろ向きな自治体

そして、フードデリバリーに対して地方自治体、なかでも基礎自治体と呼ばれる市区町村は消極的な姿勢を崩していない。

市区町村は飲食店がコロナ禍で危機に瀕していたこともあって、飲食店の救世主になり得るUber Eatsに対して期待も含めて静観していた。それでも当時から行政はテクノロジーを駆使するフードデリバリー事業者を好意的には見ていなかった。

筆者が取材した複数人の行政職員は名指しこそしなかったものの、特に業界の代名詞的存在にまで成長したUber Eatsに違和感を抱いていた。なぜ、行政はUber Eatsに違和感を抱いていたのか? それを解きほぐすには、まずUber Eatsを取り巻くプレーヤーを整理しておく必要がある。

フードデリバリー市場におけるプレーヤーは大別して、以下の6者に分類できる。

(1)フードデリバリープラットフォーマー(例:Uber Eatsや出前館、ロケットナウなど)

(2)料理を提供する街の飲食店

(3)配達員

(4)注文者(消費者)

(5)街を歩いている人(非注文者)

(6)行政

このうち、(1)(2)(3)(4)はビジネスを通じた関係にあるので理解しやすい。また、(5)の街を歩いている人(非注文者)に関してもUber Eatsの配達員が運転する自転車で危険な体験をしたといった怨嗟の声をよく聞くので、想像しやすいだろう。

米国のフードデリバリーアプリ。DoorDash, GrubHub, Uber Eats, Caviar, Postmates, Seamless
写真=iStock.com/Kenneth Cheung
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人手不足の飲食店を助けた配達アプリ

一方、(6)行政とフードデリバリーの牽連性はすぐに理解できないかもしれない。しかし、行政の存在を抜きにフードデリバリーによる社会的問題を語ることはできない。

もともと街の飲食店は、大資本のチェーン系を除けば細々と営業をしている個人事業主が圧倒的多数で、配達に人員を割ける余裕は少なかった。

かつて家族経営的な飲食店が多かった頃は家族による助力も期待できたが、そうした家族による支援は時代とともになくなっていく。そうした飲食店の隙間を埋めたのが、Uber Eatsをはじめとするフードデリバリーのプラットフォーマーでもあった。

フードデリバリーのプラットフォームを活用すれば、配達員の確保に悩むことはない。飲食店にとって人件費は大きな負担になる。それが配達員を常駐させる必要はなく、配達の注文が入ったときだけ配達員を使うことができる合理的かつ経済効率性のいいシステムといえる。それだけに飲食店がフードデリバリーのプラットフォーマーを導入して売り上げを拡大するメリットはあった。