再開発はなぜ議論を呼ぶのか
東京ではあちこちで再開発が行われ、その是非がしばしば議論を呼ぶ。注目を集めたものとして挙げられるのは、神宮外苑の再開発だろう。2023年に逝去した故・坂本龍一氏が生前に小池都知事へ計画の見直しを求める手紙を送るなど反対の意思を示したことが話題になったほか、村上春樹氏をはじめとする著名人や多くの市民からも反対の声が上がった。ネット上にも多くの情報が溢れているため、状況を把握している人も多いだろう。
一方で、神宮外苑の再開発を積極的に支持するようなニュースや記事は、さほど多くない印象を受ける。神宮外苑の再開発は、一般的な再開発とはその背景がかなり異なるが、その是非はひとまず置いておき、再開発が行われる背景と反対論が注目を集める理由について考察してみたい。
「虎ノ門ヒルズ」と「丸の内パークビルディング」の根本的違い
制度上、再開発には二つの定義がある。一つは「都市再開発法」に基づき、土地や建物の所有者等の関係者が共同で行う事業だ。自治体による都市計画決定や再開発組合の設立などの手順を踏んで行われる。もう一つは法律に基づかない任意のもので、地権者とデベロッパー等が合意して進めるものだ。
法定再開発は、都市再開発法に基づく手続きが必要なため手間はかかるが、補助金や税制優遇を受けられる。任意再開発との最も大きな違いは、任意再開発では原則として権利者の全員の合意が必要だが、法定再開発では2/3以上の同意で事業が可能である点だ。
前者の「法定再開発」について、全国市街地再開発協会が発行する「日本の都市再開発(第1~10集)」によれば、令和5年11月末時点で全国で1081件が完了している。件数が最も多いのは東京都で228件と圧倒的だが、一方で佐賀県や大分県(1件)、徳島県(2件)、山梨県(3件)など、実施件数が極めて少ない県もある。
こうした再開発の代表例には、六本木ヒルズ(2003年)、虎ノ門ヒルズ(2023年全面開業)、渋谷スクランブルスクエア(2019年)、都市再生特別措置法を活用したグランフロント大阪(2013年)などが挙げられる。議論が続く神宮外苑のプロジェクトも、都市再開発法に基づいた手続きが行われている法定再開発である。
法定再開発は敷地面積や事業規模が大きいものが多いが、ビルの建て替えといった任意の再開発(法定再開発ではない)でも、目立つものは多い。例えば、丸の内パークビルディング、渋谷ヒカリエ、東京ミッドタウン(六本木)などが挙げられる。

