現在の再開発は「総仕上げ」とも言える
日本で戦後、過去の再現ではなく、作り直しが選択されたのには、国全体の経済事情もある。
最近は、日本の世界での地位低下を憂う声も多いが、日本が豊かになったのは、ほんのここ数十年のことに過ぎない。
1960年代から70年代にかけての高度成長期は、決して豊かではなく、バブル期も今に比べると豊かだったとは言えない。
戦後すぐはもっと悲惨で、戦前の街並みに戻すどころか、都市部ではバラックを建てるのが精一杯という時期すらあった。
住宅に関して言えば、戦後のバラックから少しまともな耐震性を持つ住宅になるのは1981年の建築基準法まで30年以上の時間がかかっている。
最新の耐震基準は2000年のもので、ここ20年くらいでやっと100年住める住宅を建てられるようになった。
オフィスビルにしても、米国では戦前から超高層ビルが建てられていたが、日本で最初の超高層ビルは1968年の霞が関ビルディングで、2000年以降のものが全体の2/3以上を占めている。
大都市に超高層ビルが林立したのは、ほんのこの20年くらいのことなのだ。
こうしたことを考えれば、現在行われている再開発は、その総仕上げの段階にあるとも言えるだろう。
そして、これが都市再開発法で「都市機能の更新」という言葉が使われている意味でもある。
情報選択が難しい時代
ここまで説明してきたことに対して、あまり聞いたことのない話だと思った人もいるかもしれない。
それは、メディアリテラシーとも大きく関係している。
新聞やテレビなどのマスメディアに限らずネットメディアの多くも、商業的なものだ。
そこには当然、利益が上がるかどうかという視点が必ず入り、公正中立なメディアというのは構造上存在しえない。
ネット上にはAIによるフェイクが溢れ、SNSでは自分と同じような考え方の情報に接することが圧倒的に多く、マスメディアも一定の思想と編集方針で報道内容を取捨選択していく。
だとすれば、メディアの情報は公正中立ではない、という前提にたち、自分で情報を集め、取捨選択し、解釈していくしかない。
本稿で扱った都市の再開発もその一例だ。
なにを正しいと思うのか、本当に難しい時代になったものだ。


