デジタル庁の人材は民間頼み

デジタル庁にしても、「令和8年度予算概算要求及び機構・定員要求の概要」では、令和7年7月1日現在実員として1160人(行政人材558人、民間人材602人)という記載がある。

この民間人材というのは、民間から常勤として転職してきた人材だけではなく、非常勤で民間企業と兼業している人員を含んでいる。

実際、東京新聞の2021年10月16日の記事「性善説に立ちすぎ? 入札に「抜け道」も 126の企業・団体からデジタル庁へ民間職員」では、「民間職員のほぼ全員が非常勤で、出身企業との兼業が大半を占める実態」を伝えている。「ヤフーや日本マイクロソフトのほか、東京五輪・パラリンピック向けの健康管理アプリ(オリパラアプリ)の開発を共同で受注したNECやNTTコミュニケーションズ出身の職員などが名を連ねた」と書かれていた。

結局、デジタル庁も人材は民間頼みだったわけだ。

しかも、このような状況は、受注するベンダーの従業員が、発注側のデジタル庁に非常勤で兼務していることになるわけで、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2013年に策定した「共通フレーム2013」とも関係がある、IPA-SECが発行している「超上流から攻めるIT化の原理原則17ヶ条(実務に活かすIT化の原理原則17ヶ条)」の「原理原則【1】 ユーザーとベンダの想いは相反する」にもかかわらず、ベンダーの思いが優先される構造になっている可能性がある。

「理想を追ったこと」が失敗の原因

そもそもデジタル庁の設立、自治体システムの標準化とクラウド化には、一部のコンサルティング会社からの提案が影響していると思われるが、筆者の経験でもコンサルティング会社からの提案は、「理想を追った」「美しい未来像」が描かれていることが多い。

プレゼンテーションで話すビジネスマン
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それが経営方針や人事制度に関することであれば、それでもいいかもしれないが、ことシステムについては理想を追った美しい未来像が、実現できるとは限らない。

むしろ、実現できずに失敗することも多い。

自治体システム標準化でいえば、そもそも標準化する必要があったのか慎重に検討する必要があったはずだ。

おそらく、コンサルの提案では、全国の自治体が共通で使えるシステムを作り、そこに自治体が順次システムを乗せ換えていくという想定だったはずだ。

そしてこの時、サーバーは全国共通なので当然クラウドであり、全国の自治体がクラウドの同じシステムを使うようになれば、当然、開発費も運用費も削減できる。

しかも、コロナ禍のような非常事態では、一つのシステムをいじれば、全国ですぐに給付ができる。データ分析も全国一括で行える。