大躍進カーボベルデの合算スコアは「111」

上記の人口当たりスコアとGDP当たりスコアを単純合算した上位5カ国は次の通りです。

【図表】2002〜2022年6大会「人口・GDP効率 合算スコア 上位5」
※合算スコア=人口1000万人あたりスコア+GDP1000億ドルあたりスコア。World Bank 2024年値でGDP・人口が取得できる国を対象。

こうした小国の強さをさらに際立たせたのが、今大会のカーボベルデです。ラウンド32進出を2点として同じ条件に当てはめると、合算スコアはおよそ111と抜きん出た数字となります。

これは統計的な優劣を決める指標ではなく、限られた資源からどれほど大きな成果を生み出したかを見るための参考値です。大会方式も異なるため過去大会との単純比較には注意が必要ですが、人口約53万人の国が人材と資源を成果に結びつけた度合いは驚くほど突出しています。

【図表】カーボベルデの合算スコア
筆者作成

クロアチア、ウルグアイ、パラグアイ、そしてカーボベルデに共通するのは、限られた資源を一つの分野に集中させていることだけではありません。

人材を国内だけで探さず、育成を自国だけで完結させず、異なる背景を持つ人を共通の目的で束ねています。

国の人口やGDPは、企業でいえば社員数や資本力です。規模が成果に影響する一方、戦略次第で差は縮められます。実際、経営資源の限られた中小企業が、大企業と対等以上に渡り合うことがあります。

カーボベルデの強み1:「スカウト」

カーボベルデ代表の取り組みには、そのためのヒントが3つあります。

一つ目はスカウトです。企業に置き換えれば採用です。

カーボベルデの強さを考える上で欠かせないのが、ディアスポラの存在です。ディアスポラとは、故郷を離れ、世界各地で暮らす人々やその共同体を指します。

国内人口は約53万人ですが、歴史的な移住を背景に、ポルトガル、オランダ、フランス、米国などに多くのカーボベルデ系住民が暮らしています。正確な人数には幅があるものの、本国人口を上回る規模とされます。代表は国内だけで選手を探すのではなく、欧州などで生まれ育ったルーツを持つ選手を発掘し、チームに招いてきました。

これは中小企業の採用にも通じます。経営コンサルタントの私は中小企業の現場で「人が採れない」という相談をよく受けます。しかし、詳しく聞くと、求人媒体に広告を出すことだけを採用活動だと考えている会社も少なくありません。「応募が来ない」「大企業に人材を取られる」と嘆くだけではなく、従来の採用市場の外側まで探索範囲を広げる。社員からの紹介を通じたリファラル採用、退職者を呼び戻すアルムナイ採用、副業・業務委託の専門人材、取引先や業界のネットワークなど、つながりを総動員して自社に合う人材を見つけることが重要です。