カーボベルデの強み2:「人材育成」

2つ目は人材育成です。

首都プライアには2010年設立の「Bola Pra Frente Academy」があり、子どもたちがサッカーを学んでいます。さらに2026年にはポルトガルの名門FCポルトが現地でアカデミーを開設し、選手だけでなく指導者の育成にも乗り出しました。

西アフリカ地域の地図
写真=iStock.com/PeterHermesFurian
カーボベルデは、大西洋の中央、北西アフリカの西沖合のマカロネシアに位置する ※写真はイメージです

ただし、育成を国内だけで完結させようとはしていません。有望な選手は若いうちにポルトガルやオランダなどへ渡り、より高い競争環境で磨かれます。国内でサッカーに対する熱い思いと基礎を育み、外部で能力を伸ばす「リレー型」の育成です。

中小企業も、大企業のようにあらゆる研修を社内に持つことはできません。自社で教えるべき企業理念や仕事の基本には力を注ぎ、専門知識や高度な技術は外部研修、他社との交流、専門家の力を借りる。限られた資源を重要な部分に集中し、足りない部分を外部で補う発想が必要です。

カーボベルデの強み3:「組織運営」

3つ目は組織運営です。

カーボベルデ代表には、国内生まれの選手も欧州生まれの選手もいます。育った国、母語、所属クラブが異なる選手を集めただけでは、強いチームにはなりません。「何のために戦うのか」「どこを目指すのか」「どう振る舞うのか」という考え方の統一を図る必要があります。

これを企業経営の言葉に置き換えるなら、ミッション、ビジョン、ウェイに相当するものが見えてきます。ミッションは存在意義、ビジョンは目指す姿、ウェイは価値観や行動規範です。

ミッションに相当するのは、世界に散らばる同胞をつなぎ、小国の誇りを示すことではないでしょうか。W杯初出場は、単なるスポーツの成果ではなく、国とディアスポラを結ぶ象徴になりました。使命感を持って本気になった人のエネルギーは、組織の規模を超える力になります。

ビジョンに相当するのは、W杯に出場し、強豪国と互角に戦うことです。ブビスタ(ペドロ・レイタン・ブリト)監督は以前からW杯出場という夢を語り続けてきました。明確な目標があるからこそ、必要な人材を探し、育成の仕組みを整え、日々の準備を積み重ねることができます。

ウェイを考えるうえで象徴的なのが、カーボベルデの「モラベザ」という言葉です。温かさやもてなし、人を受け入れる心を表します。国外で育った選手を「よそ者」として扱わず、同じルーツを持つ仲間として迎えるこうした価値観は、異なる背景の選手を一つにするうえでも、プラスに働いたのではないでしょうか。