BYD創業者が本気になったワケ
ところがBYDは、今後ラッコを一部ワイドボディ化して中国やASEANで売る可能性も考えているのでしょうか、イチから新規開発しています。かつてない「軽スーパーハイトEV」ということだけでなく、かつてない「日本専用開発の輸入車」なのです。
小沢がBYDの日本人エンジニアを直撃したところ「プラットフォームは専用開発」「フロアは驚くほど低い」との言質を得ました。バッテリーやモーターは共用の可能性ありですが、やはり手間は相当かかっています。並大抵のプロジェクトではありません。
小沢は当初、ラッコは売れて年間5000台前後と読みました。それが半年で1万台でも驚きではありますが、それが実現し27年に年間2万台、28年も同程度売って、その後もプラットフォームを改良しつつ、日本でラッコシリーズを売り続ければ10年で累計10万台は見込めるかもしれません。
ただそれでも利益が潤沢に出るとはとても思えませんし、そもそも「偉大なる水商売」と言われる自動車ビジネス。予定通りに売れることは少なく、みな保険をかけまくって新型車を開発するわけです。
そんな中、BYDラッコは異例中の異例とも言うべきチャレンジングな日本専用開発EVであり、今までの輸入車ブランドとは狙いや野心レベルが全く違います。
聞けばBYDのカリスマ創業者、王伝福(ワン・チュアンフー)氏は日本のモビリティショーに視察に来て、路上の軽自動車に驚き、BYDオリジナル軽EVの開発にGOサインを出したと言います。もしや損得抜きで、プライドをかけて日本を驚かす物作りをしているのかもしれません。
最大のキモは価格
ラッコの成否を握るキーは、クオリティや販売ネットワーク以上に価格となります。ご存知の通り、軽EVは少なくとも20kWh以上の高価なリチウムイオン電池を積まねば勝負にならず、実際ラッコは容量の小さい方で22.4kWh、大きい方で35.84kWhも積んでいます。となると既存軽EVの日産サクラやホンダN-ONE e:から想像する限り、車両本体価格で300万円に迫るはずです。電池代がより嵩むからです。
国産EVの場合、軽ならば現在58万円の補助金が見込めてサクラの場合は200万円ちょいで買えますが、BYDは中国産なので補助金がほとんど見込めません。実績では1台あたり良くて15万円かそれ以下でしょう。
要するにラッコはほぼ補助金抜きで、補助金アリの国産軽EVに対抗しなければなりません。なので、「300Plus」というグレードで250万円以下、一充電走行距離200kmの「200」で200万円前後を達成しないと勝負にならないのです
つまりほとんど限界に近い安さが求められるのです。もともと衝撃のロープライス戦略で有名なBYDではありますが、ラッコは今まで以上に日本車ではあり得ない激安価格で攻めてくるはずです。事実、最近まで実車プレゼント付きの「価格当てキャンペーン」までやっていました。

