販売目標は「26年末までに1万台」

実車のラッコをみればわかりますが、まさにN-BOXやスズキスペーシアのような、幅より高さがある背高箱型フォルムで、顔はシンプルなLEDライトですっきり。サイズは全長×全幅×全高×ホイールベースが3,395×1,475×1,800×2,520mmと、ほぼ全くホンダN-BOXと同じ。

プレス精度も高く、インテリアは窓越しに確認したレベルですがマテリアル質感も高い。アジアな生産を匂わせる雑なディテールはありません。

7月28日の国内発売が決定した超戦略的EV、BYD RACCO(ラッコ)
画像=BYD
7月28日の国内発売が決定した超戦略的EV、BYD RACCO(ラッコ)

加えて、今回のスクープで明らかになったのは、以下の驚きの充実戦略です。

● 全車両側電動スライドドア、10.1インチタッチスクリーン付
● 航続距離は210km、320kmの2種
● グレードは搭載電池量、装備内容などに応じて「200」「300Plus」「300Premium」の3種
● シートはファブリックと合皮が選べる
● 日本車にはないBYDならではの幼児置き去り検知機能も搭載可
● 販売店はラッコ発売日までに全国80店舗に増加する

などです。

中でも小沢が驚いたのは「26年末までに受注1万台」という強気な販売目標です。というのも今現在、BYDは日本で年間4000台弱しか売れないのです。しかもATTO3、ドルフィン、シール、シーライオンと複数車種を揃えていながら。

お手軽な軽自動車はまだないとはいえ、コンパクトSUVのドルフィンは他の国産EVに比べて破格に安い300万円以下から。それだけ魅力的な価格設定をもってして販売4000台以下なのに、いきなりラッコ単独で目標1万台、それもわずか約半年で、です。なんという意気込みなのでしょうか。

軽自動車は日本のガラパゴスだったのに

同時に小沢がラッコで驚いたのは、プラットフォームからほぼ完全新作な点です。そもそも日本の軽規格はサイズから重量まで特殊であり、骨格はもちろんエンジンも事実上の専用設計でした。ラッコはBEVなのでモーターやバッテリーは既存コンパクトカー用を流用できるかもしれませんが、ボディやシート、インパネ、ドア回りはほぼイチから開発する必要があります。

よって海外メーカーでこのジャンル(=軽)に参入できるのは、一時の2人乗り超マイクロカー、スマートフォーツーぐらいであり、事実上皆無だったのです。

なぜなら大抵のクルマは少なくとも年間10万台は売らないと元が取れません。まさしくマスプロダクトなのです。だから今の新型車はほとんどが世界戦略車で広く沢山売るわけですし、狭い日本マーケット用に新規車種を開発できるのは、一定の販売が見込めるトヨタやホンダ、スズキなど国産ブランドのみ。

これまで日本に入ってきたどんなに大きなメーカー、例えばドイツのVW、メルセデスベンツ、BMW、アウディ、アメリカのGM、フォードやラテンのプジョーやシトロエンなどでも日本専用車を作るのは無理でした。

というかタダでさえ儲からない日本専用コンパクトカーを、少量生産して売ることなど誰も思い付かないのです。そもそも作る前からビジネスとして成立してないのですから。