日本企業やそこで働く人が直面している課題は何か。元Googleの人材開発責任者で起業家のピョートル・フェリクス・グジバチさんは「欧米企業の上司が自ら目標を設定するのに対して、日本企業の場合は、そもそも目標設定の権限が与えられていないケースが少なくない。これではいざ目標設定の局面になると、回避する心理が働いてしまう」という――。

※本稿は、ピョートル・フェリクス・グジバチ『世界の一流は「部下」に何を教えているのか』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

Googleロゴ
写真=iStock.com/jetcityimage
※写真はイメージです

上司に問われるのは「目標設定能力」の有無

プロフェッショナルという視点で上司の在り方を考えるならば、上司にとって最も重要なビジネススキルは、「目標設定能力」だといえます。

目標設定能力とは、会社が求める成果を、チームや部下が迷わず判断し、行動できる形に翻訳する力です。

目標は単に上司の理想像を示すものではなく、達成する目的(Why)が明確で、何をやるか(What)、いつまでにやるか(When)、どのようにやるか(How)といった道筋が実現可能なものでなければ意味がありません。

進むべき道筋がきちんと示されていれば、取るべき行動が明確になり、部下が判断に迷って迷路にはまり込むリスクを避けることができます。

ビジネスの現場で広く使われている「SMARTゴール」の考え方は、この問題を回避するための極めて実践的なフレームワークです。

SMARTとは、目標が適切な条件を満たしているかを確認するための5つの視点を指します。

① Specific(具体的)行動レベルが明確になっている
② Measurable(測定可能)達成・未達を判断できる基準がある
③ Achievable(達成可能)現実的で努力すれば届く水準にある
④ Relevant(関連性)会社やチームのゴールと整合性がある
⑤ Time-bound(期限)いつまでにやるかが決まっている

SMARTという手法が有効なのは、目標に含まれる曖昧さを意図的に削ぎ落とす機能を持っているからです。