話が上手くなるには何が必要か。元結不動密蔵院の名取芳彦住職は「話しというのは、こちらが裸になれば相手も裸になり、鎧を着れば相手も鎧を着てしまう。『人前で話すのは恐い』というのは、相手を最初から敵に回しているようなものだ。話のコツは1つである」という――。

※本稿は、名取芳彦『グズを直す本』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

営業会議、新しいプロジェクトについて議論する同僚
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話し方上達の近道は素直であること

「住職は話が上手ですね」と言われると、「話が上手なのではなく、口がうまいだけですよ」と、私は照れ隠しで答えます。

私自身、自分の話が上手かどうかを意識することはほとんどありません。ただ、自分が体験して気づいたことや感じたことを、相手にわかりやすく、具体的にイメージしやすいようにお伝えしようとしているだけです。とはいえ、これが自然にできるようになるまでには、十年ほどかかりました。

私が住職を務めるお寺では、かつて月一回、ベテランアナウンサーの村上正行さん(故人)にお願いし、“話の寺子屋”と称した話し方の勉強会を三年ほど開催していました。

村上さんは、アナウンサーとしてだけでなく、人間としても本当に素敵な方でした。私の話し方は、村上さんの指導を素直に実行した結果だと言えます。

素直に実行できたのは、村上さんを尊敬していたからです。尊敬する人の言葉には、素直に従えるものです。

そのおかげで、素直さが上達への近道であることも知りました。人前で話すことや、初対面の人との会話なども苦にならなくなり、楽しめるようになりました。人生で尊敬できる人に出会えるのは、まことに幸いです。

さて、この“話の寺子屋”で村上さんがおっしゃったことの中から、人前や初対面が苦手な方が、それを克服するための参考になる話をいくつかお伝えします。