心穏やかに過ごすには何をすればいいか。元結不動密蔵院の名取芳彦住職は「仏教で『苦』と定義する自分の都合通りにならないことを減らす方法は二つに大別される。例えば、あんパンが食べたければあんパンを買うか、あるいはジャムパンで我慢するかだ」という――。

※本稿は、名取芳彦『グズを直す本』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

「悩み」と「悟り」は表裏一体

世の中は、自分の都合通りにならないことばかりです。

この自分の都合通りにならないことを、仏教では「苦」と定義しています。私たちがネガティブな感情を抱くのは、常に自分の都合(願い)が叶えられていない時ですから、「苦=自分の都合通りにならないこと」という図式が成り立ちます。

ウジウジ、オロオロ、クヨクヨといった感情も、すべて自分の都合通りになっていないことに起因します。これらが解決すれば、心はおだやかになるはずです。

そこから私は、仏教の悟りとは「いつでも、どんなことが起こっても、心おだやかでいられる状態」だと解釈しています。この解釈で仏教を学んでも、矛盾を感じたことはありません。

「苦」を少なくしたり、なくしたりする方法は、古今東西、二つに大別されます。

一つは、自分の都合通りにしてしまう方法です。あんパンが食べたければあんパンを買って食べればよい。きれいな部屋で暮らしたければ、物を整理し掃除をすれば済みます。

この考え方にもとづいて生まれた数々の家電製品は、私たちの暮らしの苦を大量になくしてくれました。

苦を少なくするもう一つの方法は、自分の都合そのものを少なくしたり、引っ込めたりすることです。あんパンが売り切れならジャムパンで我慢する。お気に入りの服を着たかったのに、いつの間にか着ている普段着でよしとする。仏教で説く「小欲知足(欲を小さくして足るを知る)」とは、まさにこの方法です。