完璧主義を手放すにはどうすればいいか。元結不動密蔵院住職の名取芳彦さんは「完璧を目指す人は、危機管理がしっかりしているが、人生全般や日常レベルでそれを目指すと心身ともに疲れてしまう。完璧を目指しても必ずどこかに隙間はあることを知るといい」という――。

※本稿は、名取芳彦『グズを直す本』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

山のような書類を手に悩む女性
写真=iStock.com/Jirapong Manustrong
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「明日できることを、今日するな」をモットーに

「私の趣味は、生きていくことなんです」

これは、これといった趣味のない私が「無趣味なんて味気ない人生だ」と思われないように、苦肉の策で言いはじめた言葉です。

しかし、そんな私も、コロナ禍で布教のつもりで作りはじめた「手描き日めくり」が趣味兼ライフワークになりつつあります。B6サイズの市販のスケッチブックにお地蔵さまのイラストを描き、人生の役に立つと思った言葉を書いています。

ある日の言葉は、「明日/できる/ことを/今日/するな」(※斜線で改行しています)でした。

私の茶目っ気を知るご婦人が、この言葉を見て、「私はこれができないんですよ。全部やることをやってしまわないと気が済まないんです」とおっしゃいました。

そこで私は、「ああ、こっちですか」と言い、別の日の言葉をご覧いただきました。

「今日/できる/ことを/明日/するな」

彼女は「そうそう、こっちです」とうなずきました。

世間では、後者の言葉のほうが大切とされるでしょう。そして右のご婦人のようなしっかり者は、これをモットーに生きているに違いありません。