JAが犯した“計算ミス”
このほかに3500億円の減反補助金がある。
国民はマーケットで決まる価格よりも高い価格でコメを買うために、毎年4000億円以上の負担を納税者として行っている。もちろん国民に負担させることで利益を得るのは、JA農協たち農政トライアングルの面々である。
この状況の中で、農水省が備蓄米の回復と称して過剰在庫を処分してくれることにJA農協としては全く異論がない。3万7000円という史上最高の米価を維持できる。しかし、農水省はそうはいかない。
3万7000円はトン当たり62万円である。備蓄米の買い入れは入札で行われるので、おおむねこの価格で農水省は購入することになる。しかし、そうなれば、価格差補填だけで財政負担は1200億円に膨れあがる。
いくらなんでも、財務省がストップするだろう。また、米価が高いなかで買い入れれば、さらに価格を高騰させるのではないかという批判を国民消費者から受ける。
「今年9月、JAのために価格が下がります」
今の高米価の下では、農水省は備蓄米買入れに動けない。では、いつになったら動けるようになるのか? それにはJA農協が農家への概算金を下げ卸売業者に販売する価格を下げなければならない。
現状ではJA農協は概算金を下げられない。概算金は仮渡金なので、JA農協が卸売業者に販売する価格が下がると、JA農協は下がった分を農家から回収することになる。しかし、これは農家には不興で、農家は翌年からJA農協を通じて販売しなくなる。つまり、JA農協は25年産米の販売価格を下げられない。
下げられるのは、26年産米からとなる。バブル米価で、農家の生産意欲は高まっている。大きな不作でもなければ26年産米の生産は増える。さらに、国内が異常な高米価となっているため、カリフォルニア米が輸入禁止的な関税を乗り越えて輸入されている。これが国内市場への供給増加要因(国内産米へは需要減少要因)となる。
つまり、26年産米については、需給事情から高い概算金も卸売業者への高い販売価格も実現できないことは明らかとなる。JA農協は、堂々と概算金を下げることができる。農水省もやっと備蓄米を買い入れることができる。私の経験からすれば、農水省とJA農協との間で既にすり合わせが行われていることだろう。農政トライアングルの出来レースである。
農家も仰天するシナリオだろう。JA農協の主人は組合員である農家である。しかし、これまでも、先の概算金7千円への大幅引き下げのように、JA農協は農家の利益よりも自己の組織の利益を優先させてきた。JA農協の本音は、農家ファーストではなく自分ファーストである。
国民の皆さん、コメの値段が下がるのは今年の9月です。それまで今少し我慢してください。


