政府備蓄米と減反の目的は同じ
ところが、農水省にも事情がある。それは今の異常なバブル米価では備蓄米を買い入れられないということである。買い入れのタイミングが悪いのだ。
備蓄米は不作になっても消費者に供給できるようにするためだという。しかし、それなら減反をやめて生産量を増やし、国内で消費できないコメを輸出していれば済む話だ。不作になっても輸出量を減らせば国内への供給は維持できる。減反を続けながら「不作のときに消費者に供給する」というのは国民への表向きの理由で、本心は、毎年20万トンずつ市場から買い入れて5年間保管し、古くなった5年古米をエサ用に処分することで、20万トンを市場から隔離することを目的としたものである。
つまり備蓄米は市場の供給量を20万トン減らすことで米価維持を狙ったものだ。減反と同じで、農水省のコメ政策には常に高米価維持という隠された目的がある。幸いなことに、本質を見抜くことができないマスコミの記者たちは農水省の表面的な説明に騙されてくれる。
なぜ「エサ米」として処分されるのか
かつては備蓄米として買い入れたものを2年ほど経ったのち市場に売り戻していた(「回転備蓄」と言った)。コメは政府の備蓄米倉庫と市場の間を行ったり来たりするだけだ。これは市場への供給という点では中立的で、高い米価維持という目的や効果はない。
このため、米価を高く維持したい農政トライアングルは、備蓄米として買い入れた主食用のコメを5年保管後エサ米として処分することで、主食用の市場から完全隔離することとしたのだ(これを「棚上げ備蓄」と言う)。
ただし、問題はこれに莫大な財政負担が必要となることだ。
主食用のコメの値段は通常の年では玄米60キログラムあたり1万5000円(トン当たり25万円)。エサ米の価格は1200円(トン当たり2万円)。高く買ってタダ同然で売っている。
この差を埋めているのは国民納税者による財政負担である。20万トンの買い上げ処分で、価格差補填だけで毎年460億円を国民は負担している。
これに追加して年間トン当たり最低1億円の保管料が必要となる。20万トンを5年間保管することで100億円の国民負担が生じる。毎年20万トンを備蓄米として積み増すだけで合計560億円も国民は負担している。

