時間とカネの大幅な節約

ところが、コンピューター化をしたことで、それまでは3時間かかっていたものが、9時5分には全部本社に集まるようになった。時間が2時間55分も節約されることになったのだ。

それに、10人の女子社員も不要になった。人件費も節約できる。電話代も不要になった。コンピューターだから間違いもない。年間、全店で2500万円はかかっていた電話代がゼロになったのだから、この節約は大きい。

電卓と書類
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

メカニカルキャッシュ・レジスターでは、売り上げを記録する紙代が1店で1カ月に8万円かかっていた。それも節約できる。

こういうすばらしいシステムができたので、私はアメリカのマクドナルド本社の重役会で披露した。アメリカには、当時、マクドナルドの店は約6000店あった。これらの店はほとんど、メカニカル・レジスターを使っていた。

私が、日本ではこういうのを使っていますが、アメリカでも使いませんか、とすすめると、アメリカの本社は、そんなに便利なものなら、さっそく、アメリカでも採用したい、という。

松下通信工業の社長もエビス顔

目下、1セット1万2000ドルほどするこのシステムは、アメリカに向けて快調に輸出されている。アメリカのマクドナルドの全店に納入すると、松下通信工業は、150億円ぐらいの商売になる。

藤田田『起業家のモノサシ』(KKベストセラーズ)
藤田田『起業家のモノサシ』(KKベストセラーズ)

はじめは、わずかな注文ではいやだとしぶっていた松下通信工業の社長が、アメリカへの輸出がきまると、エビス顔でやってきた。

新聞にも松下通信工業が「世界のマクドナルドにご用立てをしているPOSシステムです」と写真入りで大々的に広告をうっているから、ごらんになった読者も多いだろう。

私は、アメリカで生まれたマクドナルド・ハンバーガーを日本に輸入したが、今度は日本で一段と機械化して、アメリカに逆輸出をしたのである。アメリカ生まれのものを日本で磨きをかけ、アメリカに逆輸出する。商売の儲けるコツはこういったところにある。

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