従来のレジスターは古くさくて非能率的

私は「ドライブ・スルー」を開発したときに、レジスターのコンピューター化を思いたった。従来のメカニカル・キャッシュ・レジスターではダメだと思ったからだ。従来のレジスターは古くさくて非能率的である。

電子レジ
写真=iStock.com/RapidEye
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そこで、私は松下通信工業に、コンピューターを使った新しいタイプのレジスターの開発を依頼した。

松下通信工業は、マクドナルドのために新しいタイプのレジスターの開発に取りくんでもいいが、何台注文をくれるのか、という。わずかな注文では開発費がペイしない、というのである。

その当時、昭和54(1979)年頃だったが、マクドナルドは日本全国で200店ぐらいしかなかった。それを私は松下通信工業に500店舗分は保証する、と約束した。

それで松下通信工業は開発に着手し、コンピューターを使った新しいレジスターシステムを作り出した。POS――ポイント・オブ・セールス・システムである。

現場に革命を起こした「POSレジ」

開発した新システムは、従来のもののように音もしないし、1日の売り上げ集計が瞬時に出てくる。時間帯の売り上げも出るし、ハンバーガーが何個、チーズバーガーが何個売れたという“プロダクト・ミックス”が瞬時にでる。

マクドナルドではパートの従業員のことを“クルー”と呼んでいるが、その“クルー”が何時間働いたかということも瞬時に出てくる。しかも、オンラインで全店の売り上げが、瞬時に本社で掌握できる。

このシステムにする前は、マクドナルドでは、午前9時から正午まで、10人の女子社員が各店に電話を入れて、前日の売り上げを集計していた。

電話では、挨拶抜きで「昨日の売り上げは?」とたずねるわけにはいかない。「おはようございます」からはじまって、「お天気はどうですか」といったやりとりがあって、それから「昨日の売り上げはいくらですか」と本題に入る。チンタラペースである。

時間も浪費するし、電話代もバカにならない。それに、電話の場合は、聞き間違い、書き間違いがどうしてもおきる。各店からはあとで売り上げを集計した書類が送られてくるが、その書類の数字が電話の数字と合わないことがしばしばあった。