馬に乗った客が「ドライブ・スルー」に現れた

これが、当たった。私はこのシステムを「ドライブ・スルー」と名づけ、江の島店に設置した。車に乗ったまま注文すれば、出口で注文の品を渡してもらえるというシステムが、忙しい現代人に受けた。それが、月商9500万円の記録を作ったのだ。

私はこれに力を得て、現在30店(当時)にこのシステムを採用している。採用した店は、どこも利用者に大好評で、売り上げを伸ばしている。もちろん、さらにこのシステムを多くの店に広げていくつもりだ。

マクドナルドのドライブスルー
写真=iStock.com/yaoinlove
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「ドライブ・スルー」というのは、ドライブして、通り抜けて行く、という意味の英語である。ところが、子供たちの話を聞くと「ドライブする」という日本語だと思っているのだ。自分でも気がつかなかったが、ちゃんと日本語になっているのである。

子供たちは、運転免許証を持っていないが、面白がって自転車で買いに来ている。蛇足だが、江の島店には、馬に乗った客も現れた。

それはともかく、私の考えた「ドライブ・スルー」方式は、マクドナルドは立ち食いの店、という従来のイメージを打ち破りつつある。

文明が進めば、現代人の時間は不足する

現代人は好むと好まざるとにかかわらず、時間に追われている。そんな現代人にとって無視できないのが、時間の節約である。どうすれば、時間を節約し、時間をより有効に使えるか、ということは、現代人の最大の関心事のひとつである。

昨今、使い捨ての100円ライターの普及はめざましい。使い捨ての100円ライターがなぜ現代人に受けたかというと、石をかえたり、液化ガスを補充したりする時間が節約できるからにほかならない。

多忙な現代人にとって、ライターの石やガスに手をわずらわされるのは面倒くさいだけでしかない。カメラにしても、レンズの焦点を合わせたり、露出をきめたりする必要のない使い捨てカメラが全盛である。

シャッターを押すだけで、フィルムの巻きあげも自動的にカメラがやってくれるのだから、大幅に時間が節約できる。時間を節約するものが現代人に受けるという一例である。

ファースト・フードはもともと時間を節約する産業である。時間を節約するためのファースト・フードがコーヒー・ショップに勝つのは自明の理である。

GDPが大きくなると、国が豊かになるのではなく、時間不足時代になる。文明が進めば進むほど、生活は複雑化し、現代人は時間が不足してしまう。これからの事業は、時間を節約することを考えたものが、かならず成功する。