人気占い師として一世を風靡した細木数子氏はどんな人物だったのか。Netflixドラマ「地獄に堕ちるわよ」の参考文献『細木数子 魔女の履歴書』(講談社)を書いたノンフィクションライターの溝口敦さんは「細木数子はヤクザと密接な付き合いがあっただけでなく、彼女自身もヤクザとしてふるまっていた」という――。

ドラマ公開で注目される「細木数子の功罪」

細木数子の生き様がNetflixでドラマ「地獄に堕ちるわよ」になった。私は2006年、週刊現代で『細木数子 魔女の履歴書』を連載し、同年、同名の単行本も出した。このドラマにも私の本が参考文献として掲げられている。

公開の前、ドラマを見た。彼女の功罪は多岐にわたるが、善悪バランスよく取り合わせたドラマになっている。興味と関心を持って観てくれる視聴者も多いにちがいない。

細木は1971年ごろ、稲川会の滝沢組組長・滝沢良次郎の情人になったが、その後、新宿を仕切る小金井一家総長・堀尾昌志の実質的な女房、姐さんへと乗り換えた。

彼女はこの堀尾を「お父さん」と呼んだ。「お父さんが賭博を開帳すると、賭博場開帳図利罪でパクられるから、あたしがやる」と賭博の胴元を引き受けたこともある。

細木数子は女やくざだった

細木はやくざの女というより、やくざそのもの、女やくざだった。新宿・歌舞伎町で若い組員たちにビニ本(ビニールで包装し、立ち読みできないようにしたエロ本)屋2軒をやらせたことがある。

ところが組員の1人が月の売り上げの半分くらいを持ち逃げした。細木は怒り、すぐカネを持ってこい、じゃなければケジメをつけろと組員たちに迫った。持ち逃げした若い者の兄貴分がしかたなく自分の指を詰めて、細木のマンションに持ってきたという。

小指を突き出す人
写真=iStock.com/123ducu
自分の指を詰めて、細木のマンションに持ってきた(※写真はイメージです)

やくざでさえ、下の者に指詰めさせることを嫌う者がいる。にもかかわらず、細木は組員に断指させた。女やくざといわれるゆえんである。

やくざの情婦には水商売上がりの人が多いが、細木もその通り。銀座や赤坂でいくつかクラブなどを経営していた。そのため人の注意をそらさない会話や接客術を心得、その上、やくざの情人になって人を人とも思わない不遜さを身につけた。