トランプの根底にある日米同盟への不満
――米中首脳会談後に、アメリカは台湾への武器輸出を一時停止すると発表するなど、台湾有事へどの程度関与するつもりなのか、かなり心配な情勢です。日本も他人ごとではありません。
【千々和】一言で言えば、日本は安全保障における自主性や主体性を高めていくほかありません。そもそもトランプ大統領は第1次政権で大統領に就任した時から、日米同盟に関する不満を述べていました。「アメリカが戦っている時に、日本はソニーのテレビで観戦しているだけだ」などと言っていましたし、2025年3月にも「アメリカは日本を守らなければならないが、日本はアメリカを守らない」と述べています。トランプ大統領の根底には、日米同盟は片務的なものだという思いがあるのでしょう。
日米同盟に限らず、トランプ大統領は「NATOなど同盟国はいいようにアメリカを利用してきた」と考えています。ロシア・ウクライナ戦争についても「つまるところ、これは欧州の問題だ」と考えている節があり、ロシア寄りとも見えるトランプ大統領の姿勢の背景にも、こうした同盟不信があるのではないでしょうか。
日本がとるべきスタンス
日米安保に関して言えば、日米は戦後80年にわたり対等性や双務性について議論し、深化してきた歴史があります。しかしトランプ大統領がこうした日米安保の歴史を丁寧に理解しているとは思えません。
近年でも日本は集団的自衛権行使容認を閣議決定し、平和安全法制を制定しています。さらに防衛費もGDPの2%まで引き上げるなど、日本自身の防衛努力も行っている。このことをもっとアピールしなければならないのですが、なかなかうまく伝わっていません。
だからこそトランプ大統領は単純に「アメリカは日本を守るが、日本はアメリカを守らない」、つまり双務性、ひいては互恵性がないと考えているのでしょうし、この認識を変えるのは困難です。
さらにこの理解を進めるためには日米同盟の互恵性やアメリカの対アジア戦略の要であることを主張するとともに、やはり日本の自主性、主体性を発揮するほかありません。
それがあって初めてアメリカも「日本がここまで努力しているなら支援しよう」となるわけですから、2026年中と言われている安保3文書の改訂でも、さらにこうした方向性の見直しが必要になるのではないでしょうか。

