盗撮被害を減らすにはどうすればいいか。西川口榎本クリニック副院長で精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳さんは「日本では『悪い人に気をつけよう』という防犯教育が中心だが、本当に必要なのは『犯罪できない状況をつくる』という発想である」という――。(第2回)
※本稿は、斉藤章佳『校内盗撮』(インターナショナル新書)の一部を再編集したものです。
性加害の原因は「人」ではなく「環境」
校内盗撮を未然に防ぐ上で大きなヒントになるのが、「犯罪機会論」に基づく環境デザインです。犯罪機会論のパイオニアは、立正大学文学部社会学科教授の小宮信夫先生です。これまでの防犯教育の主流は、「悪い人に気をつけなさい」「不審者に注意しなさい」といった、個人の心がけに頼るものでした。
しかし、犯罪機会論で着目するのは環境のデザインです。
まちづくりや公園の設計など、犯罪が起きる機会そのものを物理的に減らすことを考えるのです。小宮先生はかねて「犯罪は人が起こすのではなく、環境が起こす」と述べています。私もこの視点に深く賛同します。性加害が起きるには、次の3つの条件が重なる必要があります。
①加害したいと思っている人がいる。
②ターゲットとなる被害者がその場にいる。
③周囲から見つからずに加害できる環境が整っている。
②ターゲットとなる被害者がその場にいる。
③周囲から見つからずに加害できる環境が整っている。
この3つの条件が揃って、性加害は初めて起こります。逆にいえば、③の「周囲から見つからずに加害できる環境」を取り除けば、犯行の発生確率が格段に低くなるのです。
犯罪機会論では、犯罪が実行されやすいのは「入りやすく、見えにくい」場所だと考えます。その代表例として小宮教授が挙げるのが、日本の公衆トイレです。

