セコム社長 前田修司氏

手帳は秘書と共有。普段は秘書の机の上に置いてあります。B6の見開き1週間のいわゆるバーティカルタイプで、十数年以上、愛用しているものです。

秘書が設定した予定は秘書が書き込み、私が直接決めた日程は自分で記入します。私はあえて、1.6ミリという太い芯のボールペンを使って書き込みますから、私の書いた字はすぐわかります。手帳に書かれたスケジュールはパソコンのスケジューラーにも打ち込まれ、私の携帯電話から確認することができます。ですから、手帳自体は持ち歩きません。

決定したスケジュールとは別に、近日中にやるべき重要事項も、この手帳にメモしておきます。いわゆるToDoリストです。各日の1番下にメモ欄があるので、期限の2週間前に当たる日の欄に、「○○の件×日までにFix」「□□からの回答を得る」などと書いておきます。

少し先の予定でも絶対忘れてはならない事柄は、遅くとも2週間前には活動開始できるようメモしてあります。これだけの時間があれば、多少難しい問題が生じてもメドはつけられるものです。

これは開発の仕事をしてきた経験からの時間感覚です。私は現場にいた頃、「ココセコム」(GPS機能を利用した屋外位置情報端末)等の開発に携わってきましたが、たとえば開発の途中でソフトに不具合が生じて手直しが必要となった場合でも、2週間あれば課題はクリアできました。

開発の仕事では、すべての仕事をスケジュール感を持ってこなしてきました。それは社長になった現在でもまったく変わりません。開発には多くの人が関わります。企画、ハード開発、ソフト開発、評価、運用、購売、広報、営業など、たくさんの「登場人物」によって、商品を市場に出すことができるのです。

ですからプロジェクト・マネジャーは、すべての「登場人物」と情報を共有し、進捗を確認しながら、スケジュールを前へ推し進めていく必要があります。