「右派」と「左派」の共生はなぜ難しいのか。『「右派市民」と日本政治 愛国・排外・反リベラルの論理』(朝日新書)を出した中京大学教授の松谷満さんは「左派市民の過度な“拒否”が、右派市民にかえって頑なな態度を取らせるところがあるように思える」という――。

自由回答欄から見た右派の「声」

「右派市民」とはどんな人たちなのか、まだいまいち、イメージしにくいかもしれません。私がほかの研究者とともに行った「市民の政治参加に関するアンケート」(2017年12月実施)調査では、最後に自由に意見を書く回答欄を設け、「最後に、本調査に関してご意見がありましたらご自由にお書きください。」としました。

右翼。左翼。
写真=iStock.com/Yusuke Ide
※写真はイメージです

この自由回答欄から、右派市民の肉声をいくつか拾ってみました。あくまでも私の主観になってしまいますが、いかにも「右派市民らしい」と思ったものをいくつか紹介します。まず、前回述べた3つのタイプに該当するコアな右派市民の意見です。いずれも、伝統主義者には該当しない、つまり選択的夫婦別姓や同性愛についてはそこまでこだわりがない人たちです。

「近年、中国人、韓国人などの流入がとても気になります。このままだと日本が無くなってしまうのではないかと危惧しております。それらの民族とはお付き合いをしなくてもいいと思います。日本人はもっと声高に行動しましょう。」(60代男性)

「反自民、反安保、反安倍、反原発に偏った日本の報道に疑問を呈したい。自分は元々リベラルだったが、震災と民主党・マスコミの暴挙を見て、リベラルを主張する人ほどファシストだと知って絶望した。リベラリストを名乗る人ほど差別主義だ。」(40代男性)

どちらも、いろいろな懸念、疑問、怒り、絶望を抱えていることがわかります。「いかにも」な意見だと私は思いましたが、いかがでしょうか。ちなみに、「同性どうしが、愛し合ってもよい」という質問に対しては、60代男性が「そう思う」、40代男性が「ややそう思う」と回答しています。

「中韓大嫌い」でも同性愛を嫌悪しない40代女性

続いて、2つのタイプ、1つのタイプに該当した人の意見です。愛国主義と排外主義に該当した人の意見はそのままのシンプルなものでした。

「日本国がよくなりますように。中国、韓国大嫌い」(40代女性)

この回答者は、「同性愛」については「どちらともいえない」と答え、立憲民主党に3点、共産党に4点をつけています。野党に対する嫌悪感はそこまで強くなさそうです。

次は愛国主義のみに該当した人の意見です。

「韓○と聞いたり、見たりするだけで気分が悪くなり、チャンネル変えたりします。」(30代女性)

むしろ排外主義者にみえるような意見を書き込んでいます。この回答者は、韓国は0点ですが、中国には4点をつけました。だから排外主義者には該当しないということになっています。このように、質問への回答をもとに分類すると、どうしても実態とは食い違ってしまうような部分も生じます。アンケート調査の限界ともいえるでしょう。なお、この回答者は、共産党は0点、立憲民主党は5点という評価でした。