政治に強まるネットメディアの影響
本書『「右派市民」と日本政治 愛国・排外・反リベラルの論理』ではこれまで、右派市民の実生活での「つながり」についてみてきましたが、最後に、「どのようなメディアを日々利用しているのか」に注目します。メディアもまたある種の「つながり」といえますし、それを通じて私たちはさまざまな情報のやり取りをしています。
近年、政治や社会の新しい動きを考える際、メディアの影響に大きな注目が集まっています。もちろんメディアの影響については昔から関心が寄せられてきましたが、インターネットが広く浸透することで、より強い関心が向けられるようになりました。
現在、多くの人がオンラインニュースやSNSで情報を取得するようになっています。新聞の購読者数が激減し、若い世代の「テレビ離れ」も話題となって久しいでしょう。情報環境の変化によって、フェイクニュース、バッシング、分極化といったさまざまな問題が指摘されるようにもなりました。
こうした情報環境の変化と政治に関する意識や行動との関連については、すでにさまざまな調査研究がなされ、さまざまな論考が示されています(*1)。
マスメディアに飽き足らない右派市民
では、右派市民のメディア利用はどのようなものでしょうか。右派市民は、ものの考え方や感じ方の“ある部分”において極端な人々です。これまでの調査研究をふまえるならば、これらの人々はインターネットを利用することによって、それまで目にしなかったような新たな視点を得て、極端な考えを持つようになったとみることができます。
他方、逆の因果関係として、極端な考えを持っているから、マスメディアには飽き足らずインターネットで積極的に情報収集を行っているのだとみることもできます。
一回きりの調査では、どちらの因果関係がより強いのかを見極めることはできませんが、右派市民がどのようなメディアをよく利用し、逆にどのようなメディアを利用しないのか、その特徴を明らかにしたいと思います。
調査での質問は、「政治や社会の問題に関する情報の入手先として、以下のものをどの程度利用されていますか。」というもので、テレビや新聞、インターネットなど主要なメディアを列挙しています。それぞれについて「よく使う」「時々使う」「ほとんど使わない」の3つの選択肢から回答するというものでした。ここでは「よく使う」と回答した割合に注目します。

