「忘れようと思っても忘れられない幼い頃の記憶。嫌なことだから覚えている――」

そう語るのは、デビューから65年、数々の傑作を生みだしてきた筒井康隆さん。2024年に頸椎を損傷、一時は「自分の人生は終わった」と脳裏をよぎったが、リハビリを経て執筆活動を再開。自伝は、損傷前後の文芸誌での連載をまとめたものである。

筒井 康隆
筒井 康隆● 1934年9月、大阪市生まれ。60年SF同人誌「NULL」を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ短編「お助け」が雑誌「宝石」に転載される。著書『大いなる助走』『夢の木坂分岐点』『残像に口紅を』『モナドの領域』他多数。

「自分が見聞きし体験したこと」を綴ったこの自伝には、時代背景の記述はほとんどない。大事件であっても「自分の身に降りかからないことは何とも思わない」と言い切る。その一方で、筒井さんが出会った人々の描写は鮮烈だ。時にブラックなユーモアを漂わせている。

(インタビュー・文=堺 祐希(本誌編集部) 撮影=村上登志彦)
【関連記事】
「夢をかなえた先」に本当の幸せはあるのか。「選択」と「後悔」の物語…岡田真理『眩光の彼方』
「苦し紛れでした」失敗も軽やかに語る"獺祭じじい"挑戦の軌跡…桜井博志『獺祭 経営は八転び八起き』
私たちの社会では、痛いときに「痛い」と言えるだろうか?…頭木弘樹『痛いところから見えるもの』
「駆け引き」は長期的に大損する! 全員を勝たせる「ハーバード式交渉術」の極意
毎朝3時45分に起きて25キロ走る「究極の朝活王」