東京・秋葉原にある家電店の「オノデン」。多くの家電量販店が価格競争を続けるなかで、オノデンの小野一志社長は「他店より高くてもお客さんは買ってくれる」と語る。ほかの家電店とはなにが違うのか。フリージャーナリストの前屋毅さんが聞いた――。(後編/全2回)
71歳で宅地建物取引士を取得
秋葉原にある家電量販店の老舗「オノデン」の小野一志社長の名刺には、「代表取締役社長」と、もうひとつ「宅地建物取引士」という肩書が記されている。宅地建物取引士(宅建士)の資格は、毎年20万人前後が受験して、その合格率は15~18%という難関の資格である。家電量販店社長の肩書としては、いささか意外な組み合わせに思える。
「去年(2024年)、取ったんですよ」という小野社長の言葉には、失礼ながら、わが耳を疑った。小野社長は1953年生まれなので、71歳で取得した資格ということになるのだ。肩書の不具合さ以上に、難関突破時の年齢に驚かざるをえない。資格を取得した理由を、小野社長は次のように説明する。
「会社の経営基盤を固めるために、社宅とか倉庫だった建物を賃貸しています。その関係で不動産業界の方たちとも話をしなければならないので、話が合うには専門知識が必要だと思い資格を取りました」
なるほど、と思うものの、同時に「そこまでする?」という思いも頭をよぎる。しかし、そこにオノデンの強さの根っこがあり、冷蔵庫やエアコンという一般的な家電を売り上げの柱にできている秘密があるのだ。

