仕事で体力を浪費せずに成果を上げるにはどうすればいいか。精神科医の和田秀樹さんは「すべての仕事でパーフェクトをめざす必要はない。大事なポイントは、自分の特性を見極めて、それに合わせた働き方を心がけることだ」という――。

※本稿は、和田秀樹『体力がない人の仕事の戦略』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

デスクで仕事中に肩の不快感を感じている若い女性
写真=iStock.com/Worawee Meepian
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苦手な仕事は「60点くらい取れば十分」と割り切る

体力に自信がないビジネスパーソンが、ムリなく仕事をするためには、効率のいい進め方に着目して、仕事との向き合い方を見直すことが大切です。

自分の日常の行動や考え方を冷静に観察して、可能な範囲で改善点を修正していくことが、なるべく体力を使わずに働くための第一歩となります。

【効率化の戦略①】
「苦手な仕事」に体力を使わない

体力のないビジネスパーソンが、仕事で「完全」や「完璧」を目指してしまうと、結果的に自分を追い込むことになります。

「与えられた仕事はパーフェクトに仕上げたい」と思う気持ちは誰にでもありますが、それが苦手なタスクである場合には、準備や事前リサーチに膨大なエネルギーを注ぎ込むことになって、多くの時間と体力を消費することになります。

これを繰り返していると、自分の得意な仕事に取り組む「余力」が少なくなって、成果が出にくい状況を作ってしまうのです。

不得意な仕事や、苦手な仕事に体力を使っていると、自分で気づかないうちに、周囲の人から、「仕事ができないヤツ」というレッテルを貼られることになります。

周囲の人たちから、「あの人は仕事ができる」と思われている人は、すべての仕事で成果を出しているわけではなく、自分の得意な仕事できちんと結果を出しているケースがほとんどです。

野球に例えるならば、四番打者というのは、コツコツと当てるタイプの平均打率が高いアベレージヒッターではありません。

たとえ三振が連続しても、いいタイミングでヒットを放ったり、ここ一番の場面で特大のホームランが打てるから、四番打者なのです。

体力に自信がないビジネスパーソンであれば、すべての仕事でパーフェクトをめざすことは、時間的にもエネルギー的にもムリがあります。

余計なプレッシャーを抱え込むことで、体調を崩す原因にもなります。

自分の得意な仕事に全集中して成果を出すためには、苦手な仕事で体力を消耗する事態は避ける必要があります。

すべての仕事でパーフェクトをめざすのではなく、苦手な仕事はできるだけ避けて、仮に引き受ける場合でも、「60点くらい取れば十分」と割り切って考えることが大切です。

苦手な仕事が合格ラインのギリギリであっても、得意な仕事でキチンと結果を出していれば、どこからも文句が出ることはありません。

本当に心配しなければいけないのは、不得意な仕事に注力しすぎて、得意な仕事で結果が出せなくなることなのです。