仕事に紐づく不安や心配事に振り回されない方法は何か。精神科医の和田秀樹さんは「日本人には、物ごとを悪い方向に考えてしまう気質がある。その原因は気質の問題だけでなく、事前にソリューションを準備していないことが関係している」という――。

※本稿は、和田秀樹『体力がない人の仕事の戦略』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

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写真=iStock.com/Midnight Studio
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仕事の「優先順位」は緊急度や重要度で判断しない

体力のないビジネスパーソンが仕事を効率的に進めるためには、「優先順位」を冷静に見極めて、仕事の段取りを工夫することが大切です。

体力の温存を考えて、簡単そうな仕事を優先すると、本当に重要な仕事まで手が回らなくなります。

自分の不得意な仕事から始めてしまうと、早い段階で時間とエネルギーを使い果たすことになって、他のタスクに取り組む余力がなくなります。

体力に不安がある人ほど、自分に見合った段取りを組む必要があるのです。

本稿では、仕事の優先順位に焦点を絞って、体力のないビジネスパーソンが「仕事をラクにやる」ための戦略を詳しくお伝えします。

ビジネスの世界には、仕事の優先順位を緊急度と重要度で判断する「アイゼンハワー・マトリクス」と呼ばれる考え方がありますが、体力のないビジネスパーソンが仕事をラクにやるためには、必ずしも最適解とはいえません。

仕事の優先順位を緊急度や重要度だけで判断していると、どうしてもオーバーペースになって、体力を消耗したり、体を壊す原因になります。

自分の体に余計な負担をかけずに仕事の効率を上げるためには、本稿でお伝えする8つの戦略を視野に入れて、自分に適した実践的な判断基準を持つ必要があります。

自分に適した優先順位を判断するためには、「何を先にやるか?」とか、「どんな順番でやるか?」を考えるだけでは不十分です。

仕事に取りかかる前の段階で、そのタスクの全体像を把握することに努めて、不安材料を見える化したり、最悪の事態を想定するなど、事前に入念なリスク管理をしておく必要があるのです。