心身健康な状態で、日々の仕事に打ち込むにはどうすればいいか。精神科医の和田秀樹さんは「経営者や管理職でなければ、仕事や成果に責任を持つ必要はない。今の調子では役員になる可能性はないと感じているならば、自分にムリをしてまで管理職にしがみつく理由はない」という――。
※本稿は、和田秀樹『体力がない人の仕事の戦略』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
最終的には「逃げる」という選択肢も視野に
体力のないビジネスパーソンが、仕事に前向きな気持ちで取り組むためには、自分のマインドをニュートラル(自然体)な状態に保つ必要があります。
そのためには、自分にムリや我慢を強いる要素に「疑いの目」を向けて、最終的には「逃げる」という選択肢も視野に入れて考えることが有効な戦略となります。
【効率化の戦略①】
上司の「期待」に応える必要はない
上司の「期待」に応える必要はない
上司から期待されていることがわかると、ビジネスパーソンであれば、誰でもテンションが上がって前向きな気持ちになりますが、人の期待というのは意外と相手の勝手な都合だったりします。
体力に自信がない人であれば、上司の期待に踊らされてしまうと、オーバーペースになって、余計に体力を消耗したり、体調を崩す原因になります。
効率的に仕事を進めるためには、上司に期待されていると感じたら、その理由に目を向けることが有効な自衛手段となります。
直属の上司から、「次のミッションも、よろしく頼むね。期待しているぞ」と声をかけられたら、これは純粋な意味での期待ですから、「承知しました。こちらこそ、よろしくお願いします」と答えることになります。
注意が必要なのは、「この作業は、今日中に頼むね。期待しているよ」 というタイプの期待感に満ちた業務命令です。
その指示の意図が、「納期が迫っている」とか、「締め切りが近い」ということであれば、素直に従う必要がありますが、「この後、飲み会がある」とか、「昨夜、飲みすぎたから、今日は早く帰りたい」という理由であれば、上司の指示をスルーするという選択肢が生まれます。

