ムリや我慢をせず、短い時間で成果を出す

【効率化の戦略②】
「勝ち負け思考」をやめる

日本のビジネスパーソンには、物ごとを勝ち負けで判断する人がたくさんいます。

「自分のスキルは人よりも勝っている」とか、「人の意見を受け入れたら負け」など、どんなことでも、周囲との比較で考える傾向が強く見られるのです。

こうした考え方を、私は 「勝ち負け思考」 と呼んでいます。

ゴールテープを切るバンザイをした男性
写真=iStock.com/ElenaNichizhenova
※写真はイメージです

勝ち負け思考には、仕事に対するモチベーションが高まるという効果もありますが、ほとんどの場合はマイナスに作用します。

体力のないビジネスパーソンの課題は、ムリや我慢をせず、短い時間で成果を出すことですから、必要以上に勝ち負けにこだわってしまうと、方向性を見失うだけでなく、メンタルにも悪影響が出ます。

勝ち負け思考は、体力がないビジネスパーソンを窮地に追い込む可能性がありますから、意識して自分の頭から追い出す必要があります。

勝ち負け思考を続けてしまうと、次のような精神的なトラブルを抱え込むリスクが高まります。

①精神的ストレスの蓄積

絶えず勝ち負けを意識していると、負けることへの恐怖や、つねに勝たねばならないというプレッシャーから、精神的なストレスが蓄積しやすくなります。

②自己肯定感の低下

勝ち負けにこだわる背景には、劣等感や自己肯定感の低さがあり、それを補うために「勝ち」を求める傾向が見られます。

自分が勝っても、それが自己肯定感につながるとは限らず、負けを認めると自己肯定感が下がる……という皮肉な結末を迎えることになります。

③精神疾患のリスク

勝ち負けにこだわり続けていると、本人に自覚がないまま自分を追い込むことになって、うつ病などの精神疾患を発症する危険性が高まります。

「計画性がない」はこれで武器になる

勝ち負け思考を続けていると、自分のメンタルにダメージを与えるだけでなく、周囲の人たちとの優劣をつねに意識することによって、職場の人間関係にも影響が出る可能性もあります。

勝ち負け思考を手放すためには、自分自身を客観的に見つめて、劣等感と感じる部分を長所に置き換えて考える……というアプローチを試みることが役立ちます。

こうして得られる心理的作用を「フレーミング効果」といいます。

フレーミング効果とは、同じ情報でも、その表現(フレーム)によって、受け取り方が大きく変わる心理現象を指します。

例えば、自分が抱いている劣等感を、次のように置換して考えてみるのです。

・「周囲に流されやすい」→「適応力がある」
・「チャレンジできない」→「堅実」
・「思い切った行動ができない」→「謙虚」
・「一人で抱え込む」→「責任感が強い」
・「計画性がない」→「臨機応変」

自分の劣等感を肯定的な視点で見つめ直すことによって、思考の「枠組み」を変えることができます。

自分のウィークポイントをポジティブに見ることができれば、自然と勝ち負け思考から抜け出しやすくなります。